第1041話:タオ・テライン~名前~

「そういえば、君の名前は変じゃないか」

「誰の名前が変だって?」

「あ、すまない。変な意味じゃない、いや変な意味か。ただ喧嘩を売るような意図はない、単純な興味だよ」

「まぁいいか、失礼なのはいつものことだし。で、何が変だって?」

「ああ、タオって名前はトロテトリトルではよくある名前なんだが、テラインの方はカロドレの方の名前なんだ」

「ごめん、そのどっちも聞いたことのない地名だわ。どこ?」

「何、トロテトリトルの生まれではないのか、カロドレも違う?」

「違うよ、俺はバアードの生まれだよ」

「知らない土地だな、ちょっと待て」

 携帯端末デバイスをいじって何かを調べ始める。

「なるほど、バアードでは一般的な、ファミリーネームなのだなタオは。ファーストネームなのかと思ったぞ」

「親から継ぐ方の名だな、近所にも結構いた」

「しかし……テラインという名はバアードでは一般的ではないのでは……?」

「いや、一般的だ、個人名は多様だから一般的な名前っていうのは幅が広い」

「いや、ファーストネームの方は意味のある言葉に近い音を当てるのが一般的なようだが、テラインに当たる意味がバアードには無い、これは……?」

「いや、そういうこともある、あるんだよそういうことも」

「何か動揺しているようだが、やはりタオ・テラインという名は変な名なのでは……?」

 昔、名前でからかわれたことがあったのを思い出した。

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