第1032話:ホ・ミーテア~もやし~
「もやしが安い」
「ああ、安くていいよなもやし。なんでもやしは安いのか知らんけど」
「量産が容易だからだよ、豆を湿らせたスポンジに置いて暗い所に置いておけばできるからな」
「なるほど、ストック少なくなってきたし、買っておくか」
かごに一杯にもやしの袋を詰めている。
「もやしは腐りやすいからあんまりたくさん買ってもだめだぞ」
「ああ、前に買ったときに少ししたら酸っぱくなったのはあれ、腐ってたんだな」
「経験済みなのかよ、控えておけ」
普通一回経験したらやめておくだろ、なんで同じことやろうとしてるんだ。
しかし、かごから戻す気配が無い。
「そんなにもやしを買って、何を作るんだ?」
「そのまま食べさせるつもりだけど」
「もやしはスナック菓子じゃないぞ、せめて火を通せ。焼け、炒めろ、他の物と組み合わせろ。というか、他人に食わせるのならそれなりに調理ってもんをだな」
もやしのポテンシャルは高い、だいたいどんな食材とでも合わせられるし、味付けの受け入れ幅も広い。
「勘違いしてないか? 誰も人に食わせるなんて言ってないだろ。燃料だよ燃料、もやしエンジンのな」
「もやしエンジンってなんだよ」
もやしエンジンってなんだよ。
「その名の通りもやしを燃料にして回るエンジンだよ。実際はもやしじゃなくてもいいんだが、まぁもやしは質量とエネルギーの効率の割に安いから、もやしはたくさん使う。たまにつまみ食いもする」
「腐るからつまみ食いはやめておけよ」
言えることはそれだけだった。
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