第1029話:タラボ・ニアニア~気分最悪~

「…………」

 果ての街の最低ランクの店で、何をどうしたらこんなもんができるのか怪しくなるほどまずい名も知れぬドリンクを飲みながら考える。

 なんで俺は用事もないのにこんなところにわざわざ来たんだったか……


「静かなところに行きたい……、誰も来ないような、でも山奥とかは怖いし、最低限の人間らしい環境は残ってるような、そんな場所に……」

 疲れていた、どう考えてもメンタルを病んでるような思考だった。

 自殺を考えなかっただけマシか。

 とりあえず、果ての最低ランクとかの店には人がいないもんだと思って来てみたけど、思ったより人はいた。

 下品なスラングも飛び交っているし、全然静かじゃないし、落ち着くことなんてできるような雰囲気ではない。

 入ってみて、すぐに出ようかと思ったが、何かを注文しないといけなかったようで、メニューの中から適当に一つ、何かはわからなかったが注文してカウンターからは離れた席に座って飲んでいる。


 本当に、最悪の気分をどうにかしようと思ってきた場所でより、最悪な気分になっているわけだが、どういうわけか思考は落ち着いてきた。

 最悪の底が更新されたのか、今までの悩みがどうとでもないことに気づいた感じがある。

 気分最悪なときは、より最悪を目指してみるのもいいかもしれない。

 心が落ち着いたので、カップの中に残っていたドリンクを全部一気に口の中に入れて、無言で会計を済ませて外へ出る。

 そして、吐しゃ物が散乱している道端に全部吐いた。

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