第1009話:ピピ・スクリル~枕投げ~
「そういえばおじさんはどこの人なんですか?」
ボードゲームはなんだかレベルの違う二人のよくわからない一騎打ちになってしまったので、
「ん? それは生まれの話? それならメルティアだけど」
「いえ、今の住居の話です」
「あぁ、グルヴェートだよ」
「グルヴェート! あの多種多様な世界から人が集まってる混沌のるつぼですか!」
「まぁ、別にすごい場所じゃないぜ? うちのグループをみりゃあわかると思うけど、近い見た目の種族で集まって過ごすことが多いからな。俺からすりゃあ君らのところの方がよっぽど見た目に差がある」
「そうですかね?」
「ああ、そうだよ。兎と犬と羊かね? あとは普通に人か。暮らしぶりも大きく異なるんだろう? よくこう同じ職場でまとまってやれる。尊敬するよ」
「そうかなぁ……?」
あんまり実感はない。食べるものとかは違うけど、そんな驚かれるほど違うかなぁ?
「まぁ、君がそう思うぐらいにはこっちも似たり寄ったりよ。少なくとも同じ机で一緒に飯を食えるやつしか集まらねぇ」
なるほど、その程度のものなのか。
「ところで」
リンとメグラくんがボードゲームの観戦に夢中でこちらの声を全く聞いてないであろうことを確認してから話始める。
「異種族間での恋愛についてはどう思います?」
こんな話、身内とはできない。
リンはもちろんのこと、ノモくんにだってできやしない。
彼女らは当事者だし、店長は、あらぬ誤解をされかねない。
「ふぅん、ほぉん、なるほどねぇ……」
リンとメグラくんの方を見たりこっちを見たりしながら納得している。
「言っておきますが私は関係ないですからね」
「そうなのか? まぁ俺はいいと思うけどね。この世界では障害になるもんもそうないだろう、自分がいいと思うなら応援するなり、自分の気持ちを伝えるなりすればいいと思うけどね」
まぁ、だいたい私もそうは思っている。
元々種族が違うって意識も薄かったぐらいだし、関係ないのだと思っていた。
だとすると、ノモくんは少し、ピンチなのかもしれないなぁ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます