第976話:ムラガン・ウアミラ~次元漂流~

「う、うーん」

 気絶していたようだ、まだ足元もわからないようなふらつく頭をさすりながら目を開けると、すぐに目を閉じた。

(!? ここはどこだ? 見たことが無い場所というか、見てはいけない空間?って感じだぞ?)

 一瞬だけ見た空間は地面なんてものは無く、そもそもどこが何で物体が存在できているのかも怪しいような、謎の空間だ。

 なんでこんな場所にいるのだろうか、記憶を手繰って考える。

 確か出かけようとして、ターミナルから、ゲートをくぐって……

 そしてここか。

 もしかして、ゲートの事故か……?

 本来繋がっているはずの場所とつながらず、この謎空間に放り出されてしまったということか……

 ?

「ついてねぇなぁ……」

 ゲートが事故ったなんて話聞いたこともねぇ、ってことはこれは天文学的もいいとこの確率ってことになるじゃないか。

 さすがに無い状況過ぎて現実感が無い。

 さて、どうするか。


「どうにもならんな……」

 全くの未知の空間で、こちらから干渉できるようなことが何もないのだから、何をどうしようにも何もできないというのが現状だった。

 かと言って諦めるほど人生達観していない、一度一生を全うしたとはいえ、いつ二度目の人生を終わらせてもいいという物ではない。

 しかして、どうにかなるものでも……と思考が無意味なループに陥りそうになった時、

「おーい!」とひどく歪んだ声で、なんとか呼びかけだとわかる声が聞こえてきた。

「え、誰かいるのか?」

 こんな特殊な空間に?

「お、やっぱりいた。安心して、目は閉じたままでもいいからつかまって」

 声に従うままにつかまって、少しだけ動いたような感覚があった後、重力が戻ってきた。

「ほら、着いたぞ。災難だったな」

 突然の重力にうまく対応できずにしりもちをつき、一応の安心感に目を開けた。

「ここもどこだよ……」

 謎の空間じゃないだけましだろうか、見たこともない場所にいて、先ほどの声の主もどこにも見えなかった。

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