第971話:トルテン・ポライツス~遠隔映像投影~

「よぉし!成功っだ!」

「なんですなんです、そんな大きな声を出して」

「いやぁ、成功したときには叫ばないとね、何時もそうしているだろう?」

「私がここに来てからは初めてのことでしたので」

「ああ、そうだったかな。なにせ稀にしか成功しないものでな」

「そうですか、ところで何が成功したので?」

「映像の伝送だよ、新技術だ」

「はぁ、映像伝送技術なんてものは今時珍しくもないでしょう、電気でも魔法でも空気でも、なんでもかんでも伝送触媒にすることは可能という話だと存じておりますが」

「まぁ、そういうものだよ。映像の伝送は比較的容易ではある。何にせよ繋がってさえいればデータを載せるだけだからね」

「では、何が新技術なのでしょう?」

「なにも接続せずに映像が送られているんだ」

「はい?」

「ここにある二つのモニターは、ありとあらゆる因果すべてにおいて切り放されているんだ、伝送元伝送先っていう因果以外ではね。」

「なるほど?」

「だから、どう検出しようもしても、偶然こういう絵が出てるぐらいの物しか出ない。言うなれば、因果を操っているのさ」

「すごいんですけど、その研究、ずいぶん前に実用化されてますね。ターミナル間通信とかはそういった技術が使われていると聞きます」

「詳しいね君」

「自称発明家の使用人に志願するぐらいですから」

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