第910話:ボニアン・サックス~言語バグ~

「デデデデッデッデ」

「お、どうした?」

「あー、たまにそいつそうなるんだよ。頭から口に対する伝達プロトコルがバグるんだと」

「なにそれ怖い」

「大丈夫大丈夫、あんまり気にすることじゃない。つまりどもりと似たようなもんだから、落ち着けばすぐに戻るさ」

「そんなもんなの?」

「デデッデデデッデデデ」

「そういうもんなんだよ」

「デッデッデーデデッデ、デデッデデーデ」

「結局これ、なんて言ってんの?」

「うーん、『あ、あかん話せんくなった』『いやもっと慌ててくれや』『これ結構万が一の時に伝えられんくてヤバイ状態なんやぞ』かな」

「ヤバいじゃん、ていうかめっちゃ聞き取れてるじゃん」

「まぁ付き合い長いからな」

「デデーデデデッデデデーデ、デデデーデデデーデ」

「なんて?」

「『お前がいるからそんな焦らんけどな。あ、これは伝えんくていいからな』だな」

「いや、そんな風に言ってるならもうちょっとぼかしてやりなよ、急に惚気られてびっくりしたわ」

「ほんとやって、なんでわざわざ伝えんといてって言ったと思っとるんや」

「お、戻ったな」

「戻ったね」

「びっくりしすぎてな、ほんまやめてほしいんやけど」

「突然言語野がバグるお前が悪い、バグった時用の翻訳機は用意しておけって前から言ってるよな?」

「う、だってお前とは話通じるし……」

「そういう問題じゃないことは今わかったろ、はよ作りに行ってこい」

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