第875話:ベーガン・トリル~ドラマチックに死ぬ話~
「死に方に後悔してる?」
「そうなのよ、どうしてももっといい死に方があったと思うのだけどね」
「死に方にいいも悪いもないでしょう」
「いやいや、人生に一度のことだからさ、華やかに彩りが欲しいじゃない?」
「なんとなくわからなくはないけど、まぁ聞いてあげる」
「例えばね、追っ手から逃げてる彼と出会ってね?」
「待って?」
「いきなり話の腰を折らないでよ、なに?」
「いきなりその追っ手?に追われている彼って誰のこと?」
「彼は彼よ、暗殺者とかでもいいし、いいところのお坊ちゃんでもいいし、何か命を狙われている事情があって逃げているならいいわ」
「知らない人なの?」
「出会ったときは知らない人でもいいし、幼馴染がそうであってもいいよね」
「まぁいいわ、続けて?」
「出会って、巻き込まれちゃうのよ。それで」
「それで?」
「それでなんやかんやのあって、死ぬ」
「なんやかんやってあやふや過ぎるでしょ」
「なんやかんやのを想像する能力が無い……」
「例えば……、顔を見られたからには君も消されちゃうからって一緒に逃げることになって、その中で彼をよく知ることになって、自分が助かるためだけじゃなくて彼が助かるように動くようになるけど、彼はそれを止めるから内緒で動いて最後は彼をかばって死ぬ……とか」
「ドラマチックな死に方! すごい! 天才では?」
「そ、そう?」
「妄想力すさまじいね?」
「その言い方はやめて」
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