第866話:ナカトキ_ソーⅣ~空白区画~
引っ越しに引っ越しを重ねて、最近はボルボンバルクの中央辺りに流れ着いた。
この辺りも当然のように日の光は届かないが、どこからか供給されている電気や漏れ出ている魔力光で常に明るい。
しかし、さすがに中央下層はまだこの町の初期に作られただけのことはあって、当たり前の作りをしている。
そういえば、この辺まで来たらこの町の大樹が見られるのではないだろうか?
まだ残る街らしい道を通って、大樹があったと思われる広場を目指すが、ところどころ壁ができていて大樹を見通すどころか、広場にすらたどりつけない。
地図でもその大樹があるらしい広場は黒塗りにされていて、つながる道は表示されていない。
立ち入り禁止地区になっている……?
そんな話は聞いたことが無い、いやそもそも一度も大樹を見たことがあるなんて人に出会ったことはないが、普通に入ってこれがこの町の始まりかぁと見られるものだと思っていた。
無計画な増改築の中で覆われたとは聞いていたが、まさかこんな感じで覆われていたとは思わなかった。
というよりも、これは計画的に覆われたのでは?と疑わざるを得ない程隙間が無いようにも見える。
こうなると、なんとしてでも隙間を探して大樹を見てみたくなるな。
広場に面した窓がある部屋ぐらい探せばあるだろう、どういうわけかこの辺りは安定している割に人が住んでいないから、扉は開け放題で探し放題だ。
だめだ、一つも窓が無い。
こうなると、やはりこの町は大樹を隠すために作られたのかもしれない、
ていうか、大樹が本当にあった証拠はないみたいな話を聞いたことあったけど、こういうことだったのか……
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