第835話:ミスル・ハープとミスリ・ハープ~双子と二重人格~
「ミスルー朝だよー!」
ミスリが下の階から呼びかけが聞こえる。
寒さのせいもあって、布団から出られない。
「ん~」と生返事するのが精一杯だ。
「もー!」と少しあきれ気味な怒る声が聞こえるけど、冬季の寒さと布団の暖かさににはかなわない。
この世界に来て、私たちが私たちになってから2年が経った。
最初は始めて相対したもう一人の自分との関係性に戸惑ったし、それまでは喧嘩しても絶対に分かれられないという状況だという油断もあったりして、大変なことになりかけたりもしたが、なんだかんだで解決して今では仲良く暮らせている。
「おはよー」
「今日のご飯当番はミスルでしょー」
「ちげーよ、今日は……私か」
頭の中で日付を計算してみて当番表と照らし合わせてみたら、確かに私だった。
「いつまでも起きてこないから、ミスルの分もできてるよ」
「おっ、気が利くじゃねーか」
「これで借り7つ、じゃあ来週は全部ゴミ出しお願いね」
「む、もうそんなになってるのか」
朝食の7回忘れでゴミ出し当番がまるっと一週間、もう朝食は全部ミスリの担当でもいいと思うんだが。
「ダメだよ、そう決めたんだから」
やっぱりそうだ、ミスリは融通が利かないところがある。
「ゴミ出しはずっと私がやるからさ、いいだろ?」
「良くないよ」
「なんでさ」
「だって、私結構好きなんだよ? ミスルの作る朝ごはん」
「あんなに適当なのがか?」
他人は私たちを双子のようだと言うが、やはり私たちは私たちなんだろう。
「同じ一人だったとは思えないほどに似てなさすぎる」
「だから分かれたんでしょうね」
「分かれても結局は一緒にいるじゃないか」
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