第797話:ダランク・アオリ~不明区域~
「あれ? ここどこだ?」
目が覚めたら、知らない場所に立っていた。
いや、目が覚めたらではない。そもそも寝た記憶がないし、立って寝ることも無ければ夢遊病のケがある心当たりもない。
だから、気が付いたらというのが正しい表現なんだと思う。
「なんか不気味なところだな……」
たぶん時間は夕暮れ時、そろそろ夜の色が現れ始める時間帯で今夜は橙。
レンガ造りの町並みは何か違和感があるような気がしたが、何がおかしいのかはわからない。
そして、誰もいない。
「なんで俺こんなところにいるんだ……?」
疑問を、疑問じゃなくても思ったことを口に出さないと、周りの無音が怖い。
「あれ、ここ……道がない?」
不安になって適当に探索していたら、道路が途中でなくなっているところを見つけた。
「おい、お前ここでなにしてんだ」
背骨が抜けるんじゃないかというほど驚いた。
「ここは立ち入り禁止になっている、どうして来た」
それは少年の姿をした人で、なぜかスコップをせおっていた。
「気付いたらここにいたんだ、ここはどこなんだ?」
「ああ、迷い込んだのか。所謂神隠しってのに巻き込まれたんだよお前は、運が無かったな」
神隠し?
「ここは*****だ、ダメか既に名前は失われたな、所謂崩壊地区ってやつでな、もうすぐこの辺りは消滅する」
「崩壊地区?消滅?」
「この世界にある土地はかつて死んだ世界だって聞いたことがあるだろ、世界にも寿命があってな」
説明している時間はないから移動しながら説明すると、歩き出す。
「この辺りは寿命を迎えて空間が崩壊を初めてるんだ、空間が崩壊するときにお前みたいに食われる奴がいるんだよ、ほんと、運が無かったな」
君は……と聞こうと思ったが、わかる話が聞ける気がしなかったので聞くのはやめて黙ってついて行くことにした。
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