第792話:ブンリグ・ザイニス~時計の街~
ギィーギィーと軋む鉄の音が、街のそこら中でつながっている歯車から聞こえてく
る。
その歯車は街のあちこちでカッチコッチと時計の音が響かせる大きな時計へとつながっていた。
「あんなに時計に歯車をくっつけて、何に使っているんだ……?」
時計から外に出す歯車なんてそう用途が思い浮かばない。
時計の動力とか、時間を入力する必要のある機械か、そのあたりぐらいしか思いつかないし、一つの時計にあんなに歯車をつないでしまって時計は狂わないんだろうか。
「この時計が気になるかい?」
「ええ、歯車めっちゃつながってますけど、あれ何のための歯車なんですか?」
「あれは時計からエネルギーをとっているのさ」
「時計から? 時計にではなく?」
時計自体の動力もいるのに。
「いや、あの時計は動力とかつながなくても動くんだよ。時間が進めば時計が回る。当たり前のことだね」
概念レベルでそうなっているからね、と一言付け加えられたが意味が分からない。
「つまり……?」
「時間が進む限りあの時計はなんの動力も入れなくても回るからね、そこからこう外部に歯車を使ってエネルギーを取り出している、というわけさ」
「永久機関……?」
「そういうことになるね、まぁ、この世界じゃ珍しい物でもないだろう?」
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