第784話:スハム-イチル~ネームタグ~
人の名前が覚えられないという悩みがずっとあって、ずっと名札を全員つけて生活してくれとずっと思っていたのだが、この世界に来て画期的な物を手に入れた。
ARグラスだ、どういう仕組みかはわからないが、見た対象の名前が表示されてくれる。
他にも機能や使い道はいくらでもあるが、僕にとってはそれが一番の機能だ。
「やぁ、フギュルア君。久しぶりだね」
「ハーブ氏ぃ、また太ったな? そろそろ痩せないとまた死ぬぞ?」
「おや、ケンビ君もこちらへ来ていたのか、若くなっていてわからなかったよ」
名前を間違えなくなっただけでコミュニケーションはスムーズになったし、名前以外にも個人のデータもある程度表示できるので、会話の種にもできるようになった。
あと一番驚いたのがネームタグを表示して会話をするとネームタグを見なくても名前が覚えられるようになるんだ。
わからないまま、わからないと名前を聞きなおさないままでいたのがきっとよくなかったんだろう。
「ん、アレは確か……」
知り合いのはずだがパっと名前が思い出せない、ネームタグを見て名前を確認するが、そうだったかなと、頭の中で名前と顔が一致しない。
「ウルバさん、だよね?」
ここで無理に声をかける必要はなかったのかもしれない、しかし話しかけてしまったらもう遅い。
「あれ、スハムさんじゃないですか? ウルバさんなら今トイレに行っていますよ?」
この反応、ウルバさんじゃない。
よく見たら、ウルバさんのネームタグに重なってもう一つのネームタグが見えてることに気付いた。
「ああ、なんだフーカさんでしたか。いやちょっとね」
「ネームタグの表示がおかしかったんでしょ? 知ってますよ」
バレていた。
「スハムさんはいつも話し始めるときにこの辺りを見るでしょう?」
胸の上あたりを指す、そこにネームタグは出ている。
「そこに名前が出るんですよね、私も使ってたことがあるので、よく知ってますよ」
「あ、ええ、どうしても人の名前が覚えられない質なので」
「わかります、人の名前覚えられないですよね。ちなみにこれ、持っている
そういって、フーカさんは戻ってきたウルバさんにフーカというネームタグが付いた
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