第779話:ジョーイン・ゴクラム~台風後、残り雲~

「うーん、快晴!」

 恐ろしい規模の台風が去って朝、雲は1つも無く、一つも、いや、散り散りにある。

 台風の後は大体快晴で、雲一つない朝が迎えられると思っていたのだけど、なんか散り散りな雲がたくさん残っている。

 あんな規模の台風だったのに、全部雲を持って行ったのかと思いきや取りこぼしがこんなにもあるとは、もしかして規模じゃなくて質が悪かったからこうも取りこぼしたのかな?

 台風の質ってのが何なのかは知らないけれども、風のキレが悪いとこうやって雲を取りこぼすのだろうか、それとも雲が多すぎた?


 残ってしまった雲は時間と共に更に散っていき、徐々に空は青い範囲を広げていった。

 そうして、雲一つない快晴になって、これはこれで何かが違うような気がしてきた。

 なんで今さら「忘れてました」とばかりに遅れて雲一つない快晴になってしまうのか。

 さっきの思考がなんだかとっても滑稽なように思えてしまうじゃないか。

 だって、「なんで台風の後なのに雲が残っているのかな?」なんて考えてたら「回収し忘れてたで」と後からそんな理由で回収されてしまったら、しまったら?

 というか、そんな天気が後から「忘れてた」なんて言って雲を回収していくなんてあるだろうか?

 わからない、わからないな……?

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