第770話:モグノル~信用メーター~

 デーン……

 割と近くで信用が下がる音が聞こえる。

「信用か……」

 この街では信用はとても大きな意味を持つ。

 信用が数値化されていて、それで評価される街。

 信用が下がることは評価が下がる、評価が下がれば入れない店も増える。

 高級サービス店とかが入れないのは問題ないんだが、信用が下がりすぎて日用品を買う店にも入れなくなるのは流石にまずいよなぁ。

 流石にそうなったら街を出るしかなくなるが、過去に街を出たやつが他の街の環境に適応できなくて信用無いとわかっててもこの街に戻ってくることしかできなかったという話も聞く。


 まぁ、ただ数値化されているだけなら大した問題はない。

 それだけなら隠すことも誤魔化しも容易だし、もしそうなら信用数値の信用が低いだろう。

 この街での信用度を基準としている理由は、この街ではどれだけ他人に信用されているかのゲージが視覚的に表示されるんだ。

 しかも人の手によるものではなく、街に組み込まれたシステムとしての信用度ゲージ。

 周りからの信用が上がるとティロンと、下がるとデーンと音がする。

 そのゲージを見て店に入れるかどうか判断するんだ。


 しかして、この街で信用を得るのは難しい話ではない。

 ただ当たり前のように嘘をつかず、他者を思いやり、不正を糺していれば

 まぁ信用ゲージが上がる。

 俺も信用ゲージはメモリ6でだいたいのサービスは受けられる。

 問題は一度下がった信用は上げなおすのに時間がかかるということだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る