第751話:ドルート~右手側に降る雨~
車の運転中、雨が降り始めた。
夏季も終わってそろそろ雨が多くなる季節か。
いつからだったか壊れて閉まらない窓を見て、早く直さないといけないななんて考える。
そう考えるのも何度目だったか、何度か台風をシート張って乗り越えたりもしているから、案外何とかなるんじゃないかと思っていたりもするんだよな。
いや、さすがに車内が痛むから直さないといけないんだが……
走っているうちにだんだんと雨が強くなってきた、窓から振り込んでいる雨量が多くなってきて、右腕にタオルを巻いて一時凌ぎをする。
そうやって、どこかの民族衣装みたいな見た目になりながらの運転をしていると、これはこれでいいような気もしてきた。
さっさと直してしまわない理由も、ただ面倒くさいからというわけでもなく、壊れた時にあったことが直す気を起こさなくしているのかもしれない。
まぁ、あれも効く人によってはただの事故で、さっさと直してしまえと言われてしまうような事柄なんだが、まぁ個人的にというやつだ。
しとしとと右手で雨を受けながら、この季節1つぐらいなんとかなりそうな気がするような、まだしばらくこの壊れた窓は放置してもいいかなということにしておこう。
右手に冷たさを感じながらあの時のことを思い出す。
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