第698話:チロス=タニア~口頭伝達~
「ねぇ、ミカン持ってない?」
「は? ミカン? 持ってないけど、食べたいのか?」
「ミカン食べるわけないでしょ、使うのよ」
「ミカンを使うって……、あぶり出しを作るのか」
「ミカンであぶり出しなんて作れるわけないでしょ、何言ってるのよ」
「いやいや、お前ミカンの汁で紙に書くとだな……」
「ミカンに汁なんてあるわけないでしょ、何言ってんの」
「何言ってんのかわかんないのはお前だろ、じゃあ何に使うんだよ」
「錆びた釘が抜けなくて、ミカンを使って抜こうかと思ったのよ」
「ミカンで釘……? ああ、ミカンじゃなくてくぎ抜きか、ミカンとくぎ抜きは音が似てるから聞き間違えてたよ」
「ミカンとくぎ抜きがどう似てるってのよ」
「お前は翻訳機かけてるからわからないだろうけどさ、ミカンとくぎ抜きは共通語だと相当音が似ているんだよ。ちょっと意味を拾われないように音だけ合わせて今の会話を再現してやるよ」
「ねぇ、
「は?
「
「
「
「いやいや、お前
「
「何言ってんのかわかんないのはお前だろ、じゃあ何に使うんだよ」
「錆びた釘が抜けなくて、
「
「となるわけだ」
「頭がおかしくなりそうな会話じゃない?」
「俺はお前の頭がおかしくなったかと思ったよ」
「で、くぎ抜きは持ってるの?」
「持ってねぇよ」
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