第645話:オルセ〜見えない世界〜

 なんにも見えない。

 ここには光が無く、目が全くあてにならず、自分の手すら何処にあるかわからない。

 なにも見えないが壁の感触はあり、ちゃんと言ってしまえば危険も殆ど無い。

 迷い混んだなら致命的だが、ここはアトラクション施設なのでちゃんと覚悟の上で来てるし、安全にも配慮されてる。

 ただ、壁にぶつかるのは気を付けていないだけのことでしかたがない。


 ここでの目的は宝探しだ。

 視覚封印宝探しゲーム、ただし元から視覚を持たない人は参加禁止。

 というわけで、一切光の無い闇の中へ放り込まれて宝探しをしているというわけだが。

 ちなみに目隠しなどはされていない、目を開けても閉じても変わらないぐらいの暗さだからだ。

 手探りで探るも、空を切るか壁にぶつける。

 見つからんな……。

 ただっ広い空間ではなく、狭い迷路のような構造になっていてなんとか壁沿いに歩きながら探していて、なんか壁の材質が他と違うエリアにたどり着いた。

 たぶんこれヒントだ、この辺の足元にある気がする。

 しばらくその辺りをガサゴソしてたのだけども、結局時間切れまで見つからなかった。


「はいおかえりなさい、ではこの地図の何処にお宝があったかご記入ください!」

「え?」

「壁の材質違う場所がお宝の場所ですが、説明致しましたよね?」

 されたような気もする。

 というか、

「闇のなかで座標とか全然わからんかったんですが」

「そういうゲームですので」

 まぁ、そうか……

 そうだな……

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