第638話:コロダロイ=リーベルト~美術館~

 美術館、おそらくこの世界で最も意味不明な施設だ。

 いや、施設自体は意味が通っている、芸術的な物のような価値のある物を保管展示している施設だ。

 記録を未来に残すことは大切だし、理解から遠いものを解説するというのも大切なことだ。

 ただ、わかるのはそういった施設の理念とか存在意義とか概要とかそういう美術館という施設自体を理解しようという話であって、冒頭の「意味不明」という表現は美術館というものが内包する、保管展示されている美術品のことである。


 館内は混沌と表現するのを躊躇う程度にはカテゴライズされ、整然と並べられているが、展示されているもので意味が分かるものは数える程もない。

 解説プレートもあるが、世界観の差なのか意味がわかる文言や用語が書いてあることの方が少ないし、わかる言葉で書いてあっても結局その解説と絵や彫刻を見て理解できるものなんて無い。

 というか、まだ絵画や彫刻ならばそのカテゴリ自体はわからなくもないからいいのだけど、概念的芸術品とかいう何もないがある類のものは本当に意味が分からない。

 平気で意味がないのが意味ですとか言いやがる。

 意味が分からなさすぎる。

 宇宙の空気が詰められた宇宙缶とかの方がまだ意味が分かる。

 この世界には宇宙はないけど。


 芸術ってのはどこの世界でもこういう物だったのだろうか、少なくとも私の世界ではそうではなかった気がする。

 いや、美術館なんてほとんど行っていないから知らなかっただけかもしれない。

 この世界ではやることは少なく時間は多いので、こういう無限に時間を吸い取ってくれるような施設は需要が結構あるんだ。

 ここのところ常に入り浸っているが、いまだに理解が進まない。

 あw他紙は理解ができないと言いつつも、理解しようと努めてはいるのだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る