第597話:カロムー・コローネ~1up~

 頭の中に変な表示が出た。

 1up

 一つ上に……?

 どういう意味だろう、というかなんでそんな表示が出たんだろうか。


「1upってどういう意味だと思う?」

 翌日、友人と飲みに行って1upを話題に出してみる。

「ひとつ上るとかそういう意味だろ、それがどうかしたか?」

「いやな?昨日、頭の中でそう表示されたんだけど、全然意味がわからなくてさ」

「頭の中に表示?」

 頭のおかしいやつを見るような目で見てくる、やめろ、俺も意味わからんのだから。

「そう、感覚的にはこの辺にぽわーんってさ」

 そう言って頭の上あたりを仰ぐジェスチャーをする。

「あー、なんとなく覚えがあるような気がする、いや俺が経験したってわけじゃないんだけども」

「え、なんだよちょっと思い出してくれよ」

「なんだったかな、そうだそうだ、ゲームの演出でそういうのがあるんだよ」

「ゲーム?」

「なんだったかな。そうだ、残り人数が一つ増える表示だよ確か」

「残り人数ってなんだよ」

「わかりやすく言えばコンティニュー可能回数だ、よかったじゃないか。これで一回死んでもやり直せるぞ」

「死んでも生き返るってことか?」

「ゲームではそうだな、生き返るというよりはちょっと手前からやり直しって感じだが……試しに一回死んでみるか?」

「そうだな試しに……いや、やめとく。そういう意味で1upしたって保証もないし、今後も気を付けて生きていくよ」

「残り人数に余裕があるからって無茶なプレイをするとすぐにゲームオーバーになるからな、それがいいだろう」

 何の話だ。


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