第540話:トロント・グラーブ~買い物下手~

 どうしてこうなるんだろうか。

 部屋の中には新品同然のごみの山。

 ゴミなのはたぶん私にとってだけのことだ。

 実際、私にとって不要なものであるというだけで品質はそれなりに良いし、パッケージを開けてあるだけでどれも新品だ。

 つまりは、買い物に失敗してしまったのだ。

 そも、私が買い物に成功したようなことなどほとんどないんだけど。


 今回の買い物はヘッドセットだ。

 ヘッドセット、マイクとヘッドホンのセットだ。

 最初は適当な性能を見て買った。

 防水だの防磁気だの防塵だの防汚だのそういう性能の話だ。

 そこそこいい値段したのでそこそこいい性能なのだとおもっていたのだけど、その考えはかなり甘かったと言わざるを得ない。

 まぁなんというか、そういう甘い考えで買うから買い物に失敗するのかもしれないとは自覚しているのだけど、買うときにそこまで考えるほど私は賢くない。

 つまりはそういうこと、買ったヘッドセットの音質は最悪で、防塵だの防水だののせいで修理もできないと言われる始末。

 そもそもの話、音質の悪さは故障ではないのだ。

 修理できるものではないらしい。


 次に買ったものはヘッドホンの音質を確認して買った。

 防水も防塵も防汚もない、なぜか防磁気はある。

 問題ない程度にクリアな音質で、値段もそれなり、そこそこではないレベル。

 結構いい値段だったと言ってもいい。

 なかなかいい買い物をしたと思ってそれで音楽を聴いていた。

 前に買ったものは部屋の隅だ。

 しかして、通話に使用しようとして初めてマイクの性能が最悪であることに気付いた。

 ノイズというレベルでないバキバキ音が入り込み、えぐいことこの上ない。

 しかも自分側には聞こえないのだからたちが悪い。


 次に買うときはヘッドホンもマイクも音質をしっかり確認した。

 売り場で確認したときはどちらもそれなりで、いい感じだと思って買った。

 確認もしたし何にも問題がなかったはずだと。


 買って家で固定端末に接続する段階でコネクタの形が合わなかった。


 そんなことを繰り返して、部屋にはヘッドセットの山ができているという状態になってしまったわけだ。

 未だに目的のものは手に入っていない。

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