第534話:フェル=オモナⅢ~自分のために生きるとは~
「そろそろ君は自分のために生きるということがどういうことか考えたほうがいい」
例によって例のごとく自分の生き方というものを見失っているハクラに向けて言い放つ。
「自分のために生きる?」
「ああ、前にも話したように自分の幸せは自分で定義してその幸せのために生きろ」
「そんな他人のことを考えない生き方なんてできないよ、絶対に誰かに迷惑をかけて怒られる」
「怒られるのが嫌ならば怒られずに幸せになる方法を考えて行動しろ。自分のために生きるというのは他者をないがしろにし、奪い自己の利益しか考えないのとは違う」
「自分の幸せのために生きるんでしょ?」
「他者の幸せを自分の幸せに含めてはいかんのか?」
「そんなことはないと思うけど」
「そうだろう、少しずれたが自分の幸せのために他人を怒らせて妨害されては本末転倒というもの、つまり重要なことは邪魔をしてくるような敵を作らないこと」
「邪魔をしてこない敵はいいの?」
「察するようになったな、邪魔をしてこないなら関係あるまい?あとは、邪魔にならない邪魔をしてくる程度のやつも無視してかまわない。 邪魔にならんのだからな」
「嫌われるのっていやじゃない?」
「自分にとってどうでもいい奴には嫌われてもかまわないだろう、どうでもいいのだからな」
「嫌われるのが嫌ってことはどうでもよくないってことじゃない?」
「どうでもいい相手の基準をもっと広くしろ。近すぎない相手は基本的にどうでもいいに分類してもいい」
「さすがにそれは……」
「私はね、自分の幸せを考えないような奴は他人に搾取されて死ねとまで思っているんだ」
「それはもしかして僕も……?」
「君がどうでもいい相手ならそうなんだがね、私にとって君は少し近すぎる相手だ。そもそも、どうでもいい相手にこんな話をすると思っているのか?」
まったく、君はいつまで経っても私に搾取される存在であるということに気付かないんだなぁ。
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