死後の異世界

第535話：ローカル・マグナ～世界を征服する力～

「世界を征服する力を手に入れたみたいなんだけど」

「は？」

　幼馴染（前世からの付き合い）が頭のおかしいことを言い出した。

「いやぁ、なんかね？夢の中に悪魔？みたいなのが出てきて力をくれたんだけど」

「悪魔？大丈夫なのか？死んだ後に魂とか取られない？」

「もう死んだ後だし、大丈夫じゃない？」

「そういう問題か？で、どういう力を手に入れたんだよ」

「だから、世界を征服する力」

「それがどういう力なのかわからないから聞いてるんだよ」

　なんだ世界を征服する力って、漠然としすぎだろ。

「私にもわかんない」

「はぁ？」

「だってまだ夢に見ただけだし、実際に使ってみたわけじゃないし？」

「いやまぁ、そうだろうけど」

「使ってみる？」

「世界征服するのか？」

「いやしないけど、どんな力か気になるじゃない？」

「使ったとたんに世界征服完了！とかならないか？そういうの魔王っていうんだぜ、知ってるか？魔王になったら勇者とかいうやべーやつが攻めてくるんだぜ？」

「知ってるよぉ、でもそんな一瞬で全部終わるような力じゃないと思うよ？なんとなくだけど」

「なんとなくで世界を征服できる力を振るわないでくれ」

「大丈夫だって！空に向けて撃つから」

「なに？エネルギー弾とかそういうやつなの？」

「そーれっ！」

　ドゥン

　彼女の手から放たれた禍々しい色をしたそれは、世界を征服できるという話に信憑性を持たせるには十分な見た目をしていて、それでいて彼女の手の中に収まっていた。

「よーし、いくよー！」

「まてまてまてまて、ぜってぇやべぇやつだってそれ、無暗にぶっ放すな！もうわかったから！」

「えーでもこれ、しまえないよ？どうするの？」

「うっそだろお前、ちょっと待て、処理できそうなところに連絡入れてみるから」

「早くしてよね、これ持ってるの疲れるんだから」

「まじか、ちょっと急ぐわ」

　とりあえず、役場に連絡入れて対応できそうな人を送ってもらうことにした。