第475話:イバスージャ^ダールマル~とらんすせくしゃる~

 朝起きたら性別が変わっていた。

 なんでもある世界だからと言って流石に自然現象ではあるまい、こういうことをするのは一人しかいない。

「おい、マキサ出て来い。いるんだろう?」

「あーやっぱばれたぁ?」

 少しとぼけた喋り方をする、何時如何なる時でも胡散臭い笑みを浮かべている男、言いたくはないが私の友人、マキサ・ドロップ。

「わからないわけがあるか!こんなことする奴はお前しかいないだろう!」

「いやぁ、探してみればいるんじゃないかな?この世界はとても広いしさぁ?」

「探すまでもなく目の前にいるからな」

「あはは、まぁ折角性別が変わったんだし、普段とは違う恰好とかしてみたらどうだい? 知ってるんだぜ、君が異性の衣服にただならぬ興味を抱いている変態だってことは」

「勝手なことを言うな!」

「まぁまぁ、寝間着のままでは外へも出られんからな。とりあえず一時的な着替えはここに用意してある、当面の着替えは自分で用意してくれ」

「まて、」

 今、聞き捨てならないことを聞いた気がするぞ?

「当面の着替えとはどういうことだ、お前の気が済んだら元に戻すのではないのか」

「盛ってからしったんだけどね?解毒薬は無いらしくてさぁ。あ、でも効果期限はあんまり長くないらしいから心配しなくても大丈夫だよ」

「盛った?これ薬の影響なのか?何時だ、何時盛った!」

「昨日の夕飯に混ぜ込みでね?」

「まだ同じ薬は持ってるか?」

 性別を変える薬をもう一度飲めば戻れるはず。

「持ってるよぉ、ちなみにこれ、性別を変える薬じゃなくえて性別を男性にする薬だから」

「くっ……」

 女→男→男では意味がないじゃないか。

「さて、おとなしく服を買いに行こうか、まずは用意したその服に着替えてさ」

「出てけ」

「えー男同士なのに?」

「出て行けと言っている!」

「わかったよぉ恥ずかしがり屋だなぁ君は」

 マキサを追い出し、置いていった服を手に取る。

 大丈夫、今の私は男だ、男物の服を着ていてもなんら恥ずかしいことはない。

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