第466話:カベ=バニアⅡ~文化発祥世界~
「うちだ!」
「いーや、うちの世界だね!」
「今調べてますからちょっと静かにしててもらえません?」
今日の厄介案件はこれ、たまーに持ち込まれるんだけど自世界自慢の文化の発祥を主張してくる奴。
本来はその文化を持つほかの世界との相互関係がないことさえ確認できれば他からの移入文化でないことは証明できる(面倒なこだわりを持っていそうな奴には類似文化を持つ世界のことは伏せるが)
しかしだ、今日のようなことは至極稀にだが起きる。
要は類似文化の発祥証明が同時に窓口で競うように申請された場合。
普通申請は一件ずつ受理するわけだが、別にうちの窓口は個室にあるわけではない。
できるだけこちらの声は待合室に聞こえないように喋ってはいるが、客に関してはその限りではない。
むしろ、申請の流れを後続に見せることで申請をスムーズにするために開けているということまである。
そして、どっちが先に申請を出したかは定かではないが調べた限りではどちらの世界も他世界とのつながりは見当たらず、両方に発祥証明を発行しても良いのだが、両方に発祥証明を出すと、この二人が納得しない。
そうなった時の彼らの次のセリフは「類似文化の中で最初であることを証明してくれ」だ。
そうなった場合の話だが、調べた限りではどちらも最初ではない。
全体の中だと比較的後ろの方、875番目と867番目だ。
こうなった場合、伝えづらい。
どちらも自分が先であることを主張しているのだから実際に先であることを伝えねば納得してくれないだろうし、事実を事実のまま伝えるとどちらも落胆して帰ることになる。
最悪こちらに攻撃を仕掛けてくるだろう。バリアがあるからとおりはしないがめんどくさいしできるだけもめごとは避けたい、ボクは平和主義なんだ。
「まだ調べ終わらないのかい」
「すいませんねぇ、どうにも数が多くて」
もうとっくに調べ終わってはいるのだ。
こういう場合にうまく収める方法を調べているだけで。
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