第416話:カバラ・ロウス~風船メール~
風船が飛んできた。
どこから飛んできたのかはわからないが、どこかの子供がうっかり飛ばしてしまったのだろう。
俺の家の庭の木に引っかかっていた。
捨てておくかと、それに手を伸ばして気づく。
何かついているな。
風船を回収して紐に括り付けられていた物を外す。
どうやら封書のようだ。
あて先は、書かれていない。
これはもしかしたら風船に手紙を付けて目的の場所へ飛ばす魔術だったのではないだろうか。
それだとしたらうちの木が悪いことをしてしまったかもしれない。
中を見るのは悪い気もするが、そうだとしたらちゃんとした宛先に届けてやらねばなるまい。
封書を開いて宛先のヒントになることでも書かれていないか確認する。
なになに、『見ず知らずの誰かへ』?
ちょっと意味が解らないんだが、これはもしかして宛先指定無しで、もしかしたら魔術も何も掛けていない風船に封書をぶら下げて飛ばしたのだろうか。
とりあえず、特定の誰かに宛てた手紙ではないようなので、俺が読んでも問題はないだろう。
えーと、なになに?『見ず知らずの誰かへ、この手紙を受け取ったあなたはとても驚いたことでしょう。無作為に飛ばした風船をあなたが拾う確率は奇跡的と言ってもいいぐらいです。いえ、これは運命と言ってもいいかもしれません。私の連絡先を書いておくので、連絡待ってます。エマ・ラライ。』
控えめに言って、このエマ・ラライというやつは頭がおかしいんじゃないだろうか。
誰に拾われるかもわからないこんな手段で自分の連作先を飛ばすなんて、正気の沙汰じゃない。
よし、連絡してやろう。
こんなことをするやつがどんな奴か興味が出てきた。
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