第398話:ライマリー=ナーズⅧ~ミサイル飛来~

 ヴェー!ヴェー!

「なんか警報が鳴ってるが、何か起きたのか?」

 突然鳴り響いた警報に驚き、近くにいた一兵士に尋ねる。

「この警報は、ミサイルの接近警報ですね。大したことでもないのですが一応衝撃に備える用意だけでもしておいてください」

「ふぅん」

 こんなけたたましい警報が鳴っている割には大したことがないのか。

 ミサイルってなんだったかな、確か、ロケットに爆弾のっけて飛ばす奴だっけ?

「大したことないって言うけど、撃墜の設備がしっかりしてるとか、威力が大したことなくて被害が出ないとかそういうことだよな?」

「いえ、精度が低く、狙ったところに飛んでいかないので。だいたいいつも空に向かって消えていきますね」

「空に、ねぇ」

 重力はあるが物が落下しないこっち側では、元の世界の基準で兵器づくりをしても上手くいかないみたいだ。

 ミサイルも落下しないことを考慮しない作りになっているのか、弾頭が上を向いたまま加速していき空に消えるとのこと。

「最近は飛ばしてこなかったんですがね、どういう風の吹き回しやら」

 なんだって、最近は飛んできてなかったのか。

 ちょっと嫌な予感がするぞ?最近飛んできていなかったのに突然撃ってきたってことは、そりゃあ、そういうこと、になるんじゃないのか?

 衝撃に備えるために、護符の状態を確認する。


 少し間を置いて、悪い予感が当たった。

 ドガーンと爆発音が聞こえたと思ったら慌ただしくなってきて、ミサイルが基地に着弾したと知らされ、知らせに来たやつも慌ててどこかへ通達しに行った。

 さて、この混乱に乗じて船を回収できるといいんだが、いや、そもそも船に着弾していない、よな?

 こっちの悪い予感は当たらないように祈りながらこっそりと船に向かったが、今飛び出しても的になるだけだと気づいて出発は見送ることにした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る