第391話:ポエク・ウラア~太陽フレア~
「なぁ、聞いたか?」
「何を?」
「太陽フレアさ」
「太陽フレア?」
「そう、太陽フレア」
「なんだいそれは」
「なんでも、太陽が爆発してその衝撃が地上を襲うらしい」
「太陽が爆発?」
「ああ、近いうちに爆発するらしい」
「へぇ、そりゃあ大変だ。どこへ逃げればいい?地下シェルターの予約はどこで取れる?」
「そんなもんは必要ないさ、この世界の技術力なら街の空全てをバリヤーで覆うことだってできる。警報も出してないってことはそういうことだろ」
「なるほどね、じゃあ空を眺めていたら爆発するのが見えるのかね」
「そういうことになるな、詳しい日にちと時間がわかったらまた連絡するぜ、楽しみにしてな」
「ああ、楽しみにしてるぜ」
「太陽フレア、ねぇ……」
有人と別れた後、空を見上げて呟いた。
頭上で輝く太陽が爆発するというのはなんとも信じがたい話だ。
実際のところ、彼の言っていることは話半分で聞いている。
太陽が爆発するということも、その衝撃が地上を圧そうということも、街の空にバリヤーを張って人々は守られるということも、爆発の瞬間空を見上げられるということも、だ。
爆発はするかもしれないけど、地上に届くのか疑問だし、バリヤーを張る設備も見たことがない、守られたとして爆発の光で目がつぶれるんじゃないか、とか。
彼はいつもこういう眉唾な情報を持ってきて教えてくれるが大体的外れだったから、こうやって疑うことにしている。
まぁ、話自体は面白いから縁を切ったりはしないし、儲け話があると聞けばよく考えて損をしないように乗ってみたりはするのだけども、
もう一度空を見上げて呟く。
「爆発、しそうにないな」
その夜、空に珍しいオーロラと呼ばれる光のカーテンがかかった。
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