第388話:シカルカ~意志薄弱~

 どうしよう。

 特に人生を左右したりはしない、些細な選択を迫られている。

 具体的に言えば、昼食のメニューだ。

 もとの世界のダウンタウンによく似た雰囲気の店の券売機の前でかれこれ半時程悩んでいる。

 既に順番を譲った回数は二桁を越え、譲った人が何を選んだかをみて、あれもいいな、これもいいなと意見が泳ぐ。

 ランメ定食もうまそうだ、ペリフもいい、最近は涼しくなってきたし激辛メービフなんてのもありかもしれない。

 腹の調子はどうだろうか、定食を食べられる程空いてはいない、逆にペリフでは物足りないかもしれない、激辛を食べられる程辛いものが好きというわけでもない。

 ならばランメだけならどうだろうか、ランメだけならちょうど良さそうだ、しかしそうなるとペリフ大盛りというのも視野にはいる。激辛を抜いた普通のメービフというのもありだ。

 メニューを睨んでいると、次の客が来てしまった。

 決まっていないので順番を譲り、何を食べるのかを見ていると、なんと、半ランメと半ペリフという会わせ技だ。メービフは食べないようだが、私もそうしてみようか。

 よし、決めたそうしよう。

 券売機の前に立ち直し、半ランメと半ペリフを選択する。

 そして出てきた券を掴みカウンターへ持っていこうとしたとき目に飛び込んできたポスターにはアネンデーフがでかでかとプリントされていて、食後に甘味。というコピーまでかかれていた。

 ううむ、どうするか、食後にアネンデーフまで食べられる余裕があるだろうか?

 空腹のピークを過ぎ始め感覚が麻痺し始めた腹をさすりながら券売機の前での思案は続く。

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