第329話:ユート‐サムニⅢ〜ゴミ捨て問題〜

 しまった。

 部屋の間取りをいじくり回していたらゴミ箱が壊れた。

 面倒だな、放っておいても直るものだが、しばらくのゴミ出しがめんどくさい。

 ゴミ箱があれば、ゴミ箱に放り込むだけで勝手に分別した上で処理場に転送してくれるというのに。

 ゴミ箱がない場合、自分で分別して袋に入れて、自分で集積所まで持っていかなければならないじゃないか。

 グローバルネットから分別表をDLしてきたので、今ある分だけでもちゃっちゃと分けてしまおう。

 まずは、エネルギー変換が容易なゴミ。

 基準が書いてない、調べる。

 物質化したエネルギーを素材として使った物、エネ変マークが付いている。

 なるほど、エネ変マークが付いているものがこれなのな。

 ゴミとして出すものを一通りみたが1つもついてなかった。

 次、魔法ゴミ。

 これも定義が書いてなかった、というか以下全部定義が書いてない。

 調べた結果、魔法ゴミとは魔法で作られたゴミ。

 魔法製品のパーツがこれに当たる場合が多い。

 魔法ゴミマークが付いているのでそれを見て判断すると良い。

 これもマークか。

 ていうか、魔法製品なんてうちにあったか。なかった。

 魔鉱石、ゴミというか資源としての回収目的で分別するらしい。

「普通の鉱石ゴミと区別が難しく、分別は専門家に依頼しよう。できなければ鉱石ゴミも一緒に魔鉱石として回収に出そう」と書いてある。

 一緒に資源回収に出します。

 その他にも意味のわからない分別が多くあったがあとは普通の物質ゴミだけ。

 馴染みのある燃える物質ゴミ、燃えない物質ゴミという分け方、これは簡単。

 すべて分け終えるのにほぼ1日かかったが、あとは台車に載せて集積所に持っていくだけだ。




「ああ、その分別表、ずいぶんと前に使わなくなったんですよ。今では全部あのエネルギー変換炉に放り込むだけです」

 集積所の職員にそう言われ、今日一日をゴミよりも無駄に過ごしたことがわかった。

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