第301話:ニッカ・ミィス~繁殖性侵略植物~
「あーあーあーあー」
こりゃあひどい。
街から比較的近い位置の丘、小さな林になっているのだけどその林に異変が起きていた。
蔓状の植物が覆っており、元の林の姿をしていない。
このままではあの林が死に、あの林にあった転生スポットもなくなってしまうだろう。
非常によろしくない。
それを危惧して派遣されたのが私というわけなのだが、どうしてやろうか。
普段使われていた道も覆われてしまっていて、鉈を振るいながら進む。
蔦は四方八方から伸びてきていて、どこに根本があるのかすらわからない。
幸い、動く気配はなく植物型の魔物ということはなさそうだ。
それならば、大して警戒する必要もなく、単に根本を探しだして処理するだけでいい、はずだ。
問題はその根本を探しだすことにあるのだが、なんとかなるだろう。
適当に一本の蔦をつかんで引っ張る、どこかに絡み付いているのか引っ張っても手応えがあるだけで動かない。
仕方なく、一本ずつ辿って端を探す。
複雑に絡んでいるところは回りの蔦を切って、一本をなんとか手繰ることができ、たどり着いたのは自分で切った端、逆に辿っても同じように自分で切った端にたどり着いた。
これは、手間がかかりそうだ。
派遣されたと言っても私は植物に詳しいというわけでもなく、こういうことに慣れているということもない。
ただ単に暇していて、やってみようかなと思っただけだ。
あえて言うならば報酬に目が眩んだ。
普段働いていなくて基本支給分で生活しているとたまに臨時収入というものが欲しくなるのだ。
植物の根本を探しだして処理するだけと聞いて簡単そうだとこの仕事を受けた訳だが、間違えてしまったかもしれない。
その後、数日かけてなんとか根本を探しだ巣ことに成功した。
数株のそれをスコップで掘り起こして渡されてた薬品を注射して仕事は終わり。
報酬は割りに合わない額しかもらえないが、こんなに手間をかけることになったのは私が簡単な作業だと勘違いしていただけなので、仕方ない。
ていうかたぶん、もっと簡単に済ます方法もあったのだろうけど、私はそれを知らなかった。
この働きでこの報酬は仕方なかったのだ。
更に数日後、その林は再び同じ植物に覆われ、今度は対処することもできず数日かけて林は枯れた。
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