第292話:ナカトキ_ソーⅢ〜崩落→引っ越し〜
部屋が崩れた。
天井の上の上の上の住人がなんか金属の塊から切り出しましたみたいなテーブルを部屋に持ち込んだ結果、俺の部屋の下の下まで突き抜けて崩落した。
幸い俺は部屋にいないときで、死人が二人といったところだ。
この街ではよくあることという奴だ。
運が悪いと死ぬ。
ここに住んでいる奴はそれを承知で住んでいる訳で、死ぬリスクを負ってでもこの無駄にごちゃごちゃした場所に住みたいって奴か、生きることに執着の無い奴か、そんな感じの奴しかここにはいない。
俺は前者、死ぬのはごめん被るが雑多なのが好きでここに住んでいる。
まぁ、多少のことでは死なないとも思っているが。
昔もそんな生活をしていて落下死したのだが、まぁなんとかなる。
さて、部屋は無くなってしまったけども、上と下に抜ける縦穴ができた。
引っ越し先は上にするか下にするか。
上か、下か、上、上、上だな。
久々に空を見たい。
俺の部屋はそれなりに高い位置にあるはずだからすこし上に抜ければ空が見えることだろう。
そして上に住んでいれば今回みたいなことはなくなる。
そうして、崩れた壁を上って上の部屋、上の通路に抜けた。
なんでだ?
上っても上っても、いくつの天井を破っても空が一向に見えてこない。
地図(最終更新が古すぎて役に立たない)によれば現在位置は当時の最上階+100クロン程。
あんまり長い時間がたっている訳でもないのに、どれだけ拡張してるんだこの街は。
もういいや、空はもういい。
この辺りで少し広い場所でも探すことにする。
持ち主のいない空き部屋でもあればいいんだが。
周囲を少し散策してわかったことはこの辺りは結構ヒトが住んでいて、大通りへ抜けるのも楽で、そして空き部屋や部屋を作れるようなスペースも無いってことだ。
困った困った、別の場所に行けばいいだけだからあんまり困ってないが困った。
少し困ったところで一度大通りを抜けて、別の区画へ入ってみる。
少し歩いただけなのに、こっちは人気が全然無い。
立地的には大してさっきの場所と変わり無いのになぜだろうか。
しかし都合がいいと適当な空き部屋に入ることにした。
数日後、俺はまた新しく部屋を探すことになった。
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