第289話:バームⅢ~頭で稼ぐ~

 しまった、金がない。

 最近、鬼から逃げるために金を使いすぎている。

 金がなくなればあんなのから逃げる方法がない。


 しかたない、稼ぐか。


 稼ぐ、とは言っても真面目に働くのも馬鹿らしい。

 俺は昔は異世界間での交易をして稼いだものだがこの世界ではそれもできない。

 使える人脈も、ないことは無いが使うための元手がない。

 俺もそうだが、やつらは前金でしか手を貸してくれないんだよな。

 特別な事情でもない限り金が重要でないこの世界でも奴等は金にこだわる。

 俺も同類だから何となく気持ちはわかるから、頭を下げたりして頼んでも絶対に後払いに応じるなんてことはない。

 さて、大した元手なし人手なし、稼ぐ手段は多くない。

 まずは大したことない元手を大した元手にするために、安全にギャンブルでもしようかね。


「やあやあ、結構な稼ぎになったよ。ありがとな!」

 あまり目をつけられないよう、複数のカジノを渡り歩いて少しずつ稼いできた。

 まぁ有り体に言ってしまえばイカサマで稼いで来た。

 どこのカジノもイカサマ防止システムがあるがそんなもの知っていれば穴を突くのなど容易いことだ。

 やり過ぎると目立ってシステムを更新されたり、出禁になったりするから複数のカジノで少しずつやるのがコツだ。


 さて逃げ回るのには足りないが結構な資金もできたし、そろそろ大きく稼いでいくとするか。


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