第281話:マクロン-ポップⅢ〜巨竜大切断~
「うぉおおおお!」
雄叫びを上げて剣を上段から一息に振り下ろす。
愛用の長剣は、細い繊維状の骨を編んで作られたしなやかな鱗をメシィという音を立てて砕く。
数枚砕いたところで竜には大してダメージはないが、想定通りだ。
「フェン!」
少し離れた場所で待機しているガンナーに合図をする。
身を少しずらして射線を開けるとカンッという短い音と共に大きめの尖った弾がひび割れた鱗に突き刺さって、炸裂した。
炸裂徹甲弾、貫通力の高い弾頭で鱗に食い込み破壊力の高い炸薬を内部で爆発させて、体内に直接大ダメージを与える弾だ。
この竜は鱗が硬すぎてこの弾でも鱗を貫くことができず、一度叩き割ってから撃ち込む。
それでも鱗をひっぺがすので精一杯なのだが。
既に繰り返すこと8度。
炸裂弾では鱗を剥がせても竜の身には大きなダメージになっていないが、剥がした鱗の並びは直線的で、十分ま露出だ。
「うらぁっ」
力を込めた掛け声と共に露出した皮脂に剣を突き刺し、斬撃を流し込む。
息を止めて振り上げ、竜は真っ二つになった。
「おつかれー!」
討伐の打ち上げの居酒屋。
今日のメンバーは4人だ。
俺、ガンナーのフェン、回復術師のソクラ、転移術師のリム。
魔法使いのラナウは今日はなんか用があるとか言って来なかった、あいつの地元でしか通じないような重ね言葉を交えて言ってきたが共通語ではその面白さも一切伝わらなかったな。
「いやー、今回もすごかったですねマクロンさんの大切断」
「ああ、鱗さえ何とかしてしまえば一太刀で真っ二つだ」
皿に乗った魚の焼きものをナイフで切りながらソクラとリムが話している。
「あれ、どうやってやってるんですか?」
そのままの流れで俺に対して聞いてくる。
確かに端から見たら不思議な光景だったかもしれない。
刃渡り4クロン程の長剣でどうやったら巨大な、今日のだと大体体の直径が20クロンぐらい、を一撃で真っ二つにできるのか。
「簡単に言うとだな、斬撃を延ばして、こう、斬れる範囲を拡大している、気合でな?」
手で長さが伸びているというジェスチャーをしてなんとか伝えようとする。
「全然わからないんですけど」
「だろうなぁ。なんというか、いつの間にか自然にできていたというか、竜の体に剣を突き刺した時、ああ。今斬撃延びてるなぁっていう感覚?があるんだ」
その後もなんとか説明しようとしたが、まったく伝わらなかった。
次の竜狩りの時、いつもどうやってやっていたかを考えすぎてうまくできず、大ピンチに陥ったが、なんとかなった。
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