第217話:エルロⅡ〜おおかみさんの友達〜
「おーい、ペティア飯だぞー」
最近はペティアと一緒に暮らすために、育児休暇を取得した。
子供も生まれないこの世界で誰がそんなもの使うのかと思っていたが、まさか俺が使うことになるとは思わなかったな。
「ペティア?」
その肝心のペティアがいない。
「どこ行った?」
ペティアがこの世界に来てから一人で外に出ようとしたりしたことはなかったのだが、出掛けたのだろうか。
「…………大丈夫か?」
心配になってきた。
捜しに行くか。
ペティアはすぐに見つかった。
自宅近くの通りで道行く人を眺めながら「はぁー」とか「ほぉあー」とか言っている。
まぁ、珍しいのはわかる。
ただ、お前も相当珍しいことになってんぞ。
道端で歩く人を見て感動してる真人の少女ってのはなかなかいない。
この世界に来たばっかりのやつがそういう感じになることは多いが、この町では真人自体が珍しいし、真人の少女となるとかなり珍しい。
少し、様子を見てみるか。
しばらく見ていると家とは反対方向へ歩き始めた。
どこへ行くんだ?
俺もこっそりと後ろからついていく。
ペティアはうろうろとあてもなく歩いているだけに見える。
家から一人で出たのは初めてだし、迷ったのか?
よく見れば顔も不安そうだ。
そろそろ、声をかけて帰るか。腹も減ったしな。
「おう、ペティアこんなところで何してるんだ?」
「あ、おおかみさん」
安堵したような笑みを浮かべる。
「腹へったろ、かえって飯にするぞ」
冷めてるかもしれないが、まぁ温めればいいだろ。
「うん!」
いい返事だ、飯を食いながら初めて一人で外に出てみてどうだったかを聞いてみることにするか。
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