第151話:フソックⅡ〜隠密ダンジョン〜

 パーティーをクビになった。


 遅々として進まない攻略に文句つけたら、ダンジョンの奥に置いていかれた。

 帰還はパーティーメンバーの魔法使いに一任していたから死に戻ることになったし、デスペナルティが痛い。

 新たな仲間探しも、難航しているし、これはもう、レベルをあげてソロでダンジョン攻略を目指した方が早いだろうか。

 そもそも、俺はダンジョン最深部の風景を見に行きたいだけなのだから、隠密職にでもクラスチェンジしてエネミーに見つからないように最深部まで行くというのはどうだろうか。

 よし、それで行こう。


 早速転職の館に行き、隠密系のスキルがとれる職に転職した。

 少しレベルをあげればあのダンジョンで俺にタゲをとるエネミーはいなくなるだろう。

 ダンジョンの入り口で、隠密スキルがしっかりと発動していることを確認して、ダンジョンの奥へと足を進める。

 おお、隠密スキルは初めて使ったけど、本当にエネミーに気づかれないんだな。

 もっと前から使っておけばよかった。

 そういえば、こんなに便利なのになんで隠密職の人ってあんまり見かけないんだろう。


 三層辺りまで来て、他のプレイヤーを見かけた。

 こちらには気づいていないようだ。

 気づく余裕がないだけかもしれない。

 エネミーに囲まれて、戦士が魔法使いを守りきれていない。

 あれでは、全滅だな。

 しかたない、手を貸してやるか。

 エネミーには気づかれていないので、一体のオークの背後まで行き、クリティカルポイントをダガーで一突きする。

 クリティカルポイントを貫かれたオークは一撃で死亡エフェクトを撒き散らして経験値を残して消滅した。

 倒したオークとターゲット判定がリンクしている他のオークのターゲットがこちらに移る。

 隠密スキルを使っていても攻撃したらリンクしているエネミーのターゲットはこちらに移るのか。

「いまだ! やれ!」

 突然、取り囲んでいたエネミーの動きが乱れ呆然としていた魔法使いに声をかけて、魔法を使うことを指示する。

「え、はい! 【エクスプロード】!」

 魔法スキルの発動コマンドから数秒かけて魔法が発動する。

 魔法使いを中心に爆発が発生、数体いたオークは全て爆発に巻き込まれて消滅した。

 俺も魔法使いのパーティーにいた戦士も巻き込まれているが、魔法スキルでは味方にダメージが発生しないので、一時的に視界が塞がれる以外は不都合はない。

「大丈夫でしたか?」

 周囲にいたエネミーは全て倒したので、声をかけてみた。

「え? えーと、どこに?」

「え、あーそういうことか」

 隠密スキルはプレイヤー相手でも効果を発揮するのか。

「どうも、」

 隠密スキルを解いて再度挨拶をする。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る