第138話:ルルニア=ローテルⅤ〜べちゃべちゃどろん〜
そろそろ交代、そんな時間にその卵は現れた。
何度話しかけても反応はなく、中の音を聞こうとしても全く物音がしない。
ターミナル職員の規則として、自分の担当時間中に卵として現れた転生者は自分で担当しなければならないということになっていて、外から卵を割ってはいけないということに綯っている。
つまり、さっさと引きずり出して帰るというわけにはいかない。
全く、面倒くさい。
一時間ぐらい経って、次の時間担当の人が来て、既に3人ほど案内するのを手伝ったが、まだ、あの転生卵に変化はない。
今日はロボもテルヴィアに行っているのでスキャンして中の状態がどうなっているかを探ることもできない。
「あの、あれ引き継いでもらってもいいですか?現れてからずっとあんな感じで、もし時間内に出てこなかったら次に引き継いだりとかしてもいいですし」
「あー、そうだね規則ではダメってことになってるけど、いいよ。
来た時間も交代前ギリギリだったし 、僕が担当ってことにしておくよ」
「ありがとうございます、じゃあお疲れ様です」
「うん、おつかれ」
挨拶をして帰る用意をしにいく。
あの喫茶店によってから帰ろう。
「そんなわけで、今日は帰る時間が一時間も遅れちゃって」
「変な人もいるもんですね」
「変な人でも出てくるならやりようがあるんですけど、出てこない人はどうしようもないんですよね」
「はぁ、そうだ少しゲームでもしません?うちの店はあらゆる世界の飲み物も売りなんですけど、あらゆる世界のボードゲームもあるんですよ」
「いいですね、なんのゲームします?自慢じゃないですけど、私そういうゲーム強いですよ」
「ルルニアさんの世界にあった奴でいいですよ、一通りルールや定石は勉強しましたからね」
「じゃあドルアスベルダで」
「これですね」
その後、圧勝したら意地になったメーティカさんが、色々なボードゲームを持ってきて、軽くルールブックを読んで勝負して返り討ちというのを繰り返して、気がついたら朝になってました。
「そろそろ私も仕事の時間なので、行きますね」
支払いと挨拶をして、眠い目を擦りながら出勤する。
仕事の準備を終えて、転生ホールに来た私は信じられないものを見た。
まだ、昨日の転生卵があるのだ。
そんな馬鹿なと思いつつ、前の時間担当に話を聞いてみると、いつまで経っても出てこないから中で死んでるんじゃないかという話もあるとのこと。
割ってはいけないという規則がある以上、割れないですし、どうしたものかと触ったら、ごろんと転がって割れた。
しまった、でも事故ですし、やっと処理できる、と考えながら卵の中身を見てみると、ドロドロとした透明の液体が流れ出てきた。
「ひぇ」
スライムかな?と思って様子を見ていたが、どうにも違うようだ。
結局、なんだったのかはわからなかったが、軽く掃除をして、次の転生者の相手をした。
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