第111話:ユーノン-ロッコⅡ〜異能持ちの友人〜
「能力を持ってる生活ってどうなの?」
「どうって、何が?」
学校の昼休み、エロ玉の能力のなかには意外と使えそうなものもあることに気づき、実際に能力をもらうとしたらどんな感じなのかを考えるようになった。
というわけで、友人の中にいる、特殊な能力を持った子に話を聞くことにしたのだ。
「能力を持ってて、なんか得したなってこととか、無い?」
「ないよ、私のは戦うための異能だから。
普段の生活で使うことなんてないしね」
そういえば、彼女が能力を使っているのを見たのは一度だけだ。
「だから、異能なんてあってもなくても変わらないんだよ。
そもそも、なんでロッコは異能が欲しいの?」
「欲しい訳じゃないんだけどさ、くれるって言う奴がいてね?」
「へぇ、そんな人いるんだ」
まぁ、人ではなくこの私の後ろに浮いているへんてこな玉なのだが。
「そいつは、どんな異能をくれるって言ってるの?」
「絶対当たる天気予報の能力とか、服を一瞬で乾かす能力とか」
「いらないね」
「他には、スカートがどれだけ翻ってもパンツが見えない能力」
「なにそれ?」
「ちょっと迷ったんだけどいらないかなぁって」
「ちょっとは迷ったんだ」
「うん、私ってよく動くからよく、パンツ見えてるって言われちゃうんだ」
「スカートをはかなければ良いんじゃない?
他には?」
「他にかぁ、雨が降っても濡れない能力」
「いらないね、傘使うし」
さっきから、いらないいらない言われる度にエロ玉がショックを受けているような動きをする。
面白い。
「というか、適当にもらっちゃえば?なにか対価とかいるの?」
「魂だってさ、死んだあとのね」
「魂?そんなものこの世界にあるの?」
「え、ないの?」
「知らないけど、元の世界で悪魔に魂を売ったって人にこの世界で会ったことあるよ」
「悪魔に魂とられても転生できるんだ」
「不思議だね」
「うん、不思議」
「色々聞いたけど、やっぱ異能とかいらないんじゃない?」
「そうかなぁ」
「ていうか、この世界で有用な異能なんてほとんどないでしょ」
「それもそうだね」
「私含めて異能の力を持っていて、便利そうだなぁって思った人いないでしょ?」
「うん、いない」
やっぱり能力とか、この世界では必要ないのかもしれない。
エロ玉には悪いけど、私は能力をもらうことはないんだろう。
「お、話は終わったかね?」
あー、でも能力をもらわないとこれが離れないって言うのは能力をもらう理由になるのかもしれない。
「能力をもらったらエロ玉はどこか行っちゃうの?」
「ん?寂しいのか、我はどこにもいかんぞ?ずっとそばにいてやろう」
「そっか」
上段回し蹴りを叩き込み、そうなると能力をもらうメリットがほとんどないなぁと思うのだった。
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