レビュー

 小説投稿サイトでは、レビューと言う、その作品を一言で表現し、且つ第三者にその小説をアピールする機能が備わっている場合がありますね。

 とりわけこの「カクヨム」では、レビューがまるで店頭に並んでいる書籍の帯であるように、大きく大々的に表示されます。

 

 これは凄い機能だと思います。

 何故なら、このレビューを見る事で、その作品に注目が行くわけです。思わず覗いてみようと思わされてしまいます。

 レビューには、その小説を見た読者の、大きな声で訴えたい思いと、更に他の第三者を引き付ける為のPRが込められているのです。

 しかし、最近よく見かけるのは「面白かった」「良い作品だ」「これは新しい」等、言葉数が少なすぎる物で抽象的な物が多いようです。

 上記の様な言葉でも、恐らくその作品がどれほど「良作」「傑作」なのかは窺い知る事が出来ます。

 しかし、ちょっと待ってください。


 レビューとは、先ほども言いましたが、店頭に並ぶ帯の様な役割も果たしているのです。

 もし、私達が店頭に入り「これは面白い!」「とてもいい作品だ」「全く新しい」と書かれているだけの本を手に取るでしょうか?

 勿論、書店に入って真っ先に目にする陳列台に、山のように積まれている本ならば、思わず手に取るかもしれません。

 しかし普通に本棚で陳列されている本を、たまたま手に取った時に「面白い!」だけ表記されていた、果たしてあなたはその本のページをめくりますか?そして読むでしょうか?

 残念ながらそうはならないでしょう。何故ならば、本当に面白い作品がそんな本棚に一冊だけで陳列されてしまっていると、誰が思うのでしょうか。


「昔面白かった本が、ブームも去って陳列数も減り、本棚にならんでしまったんだ」


 その可能性は否定できません。昔流行ったのならば、きっと当時は大盛り上がりだったのでしょう。

 しかしこのサイトで「昔」流行ったと言われる程の作品を掲載している人は、残念ながら見た事がありません。

 ならば多くの作品は、今、正に売り出そうとしている作品では無いでしょうか。


 折角良作に辿り着き、第三者にも見てもらいたいと考えて紹介しようとしてくれているのです。「面白かった」だけでは、あなたは実感できても、第三者には伝わらないのではないでしょうか。


 これが、読み専の方ならばそれも仕方ありません。元々文字を書いて表現する事が苦手だと言う方も多い事でしょう。

 しかし書き手の方がその様な表現を行っているとすれば、それは実に、二重の意味でもったいないのです。


 まず、自身で作品を書いている方であるにも拘らず、他者の作品に共感して、レビューまで書こうとしているのです。それが第三者に伝わり難い様な表現では、折角のあなたの心意気が無駄にってしまいます。

 もう一点は、レビューと言う文字数に極少の制限がかかっている所で、如何にその作品を華やかに、感動的に紹介できるかと言う、非常に高度な課題を課せられるのです。

 私も何作品かにレビューを投稿しました。その時の悩みっぷりといったら、自作品のアイデアを考える時よりも悩みます。

 結果的には凡庸で収まっているかもしれませんが、大いに悩み、如何にその良さを他の人にも伝えるか。そして実は、その行為は、私の作品に取り組む際にも、至る所で大いに役立っているのです。


 名文を残せないのならレビューを書くな、等と言う傲慢な事を言うつもりなど、毛頭ありません。ただ、残念に思うだけなのです。


 もし、あなたが読んだ作品が、第三者にも知らせたいほど良いと感じたのなら。

 そして、あなたが僅か35文字の中に作品紹介をねじ込めと言う難題に挑戦してスキルアップを目指すなら。


 私はレビューの文言を、僅か一言で済ます様な事は避けるべきだと考えるのです。


 そしてそれは、作者様が自身の作品に付けるキャッチコピーも同様ですよ。

 よく見かけるのは、自身の作品中に出て来るセリフだけを記載している様な作品なのですが、ご自身はその内容を把握し、そのセリフが如何にその作品を物語っているのか理解しているのでしょうが、


 ハッキリ言って、私達には何も感銘を受ける物がありません。

 

 PVが増え、レビューや星が増えてから後、それを変更するなら解るのですが、初めて見る様なタイトルの上に、意味の解らないセリフをキャッチコピーとして挙げられても……ねぇ……。


 たかがレビュー、されどレビュー。

 皆さま、今一度レビューの書き方を再考してみませんか?

 このカクヨムには、そう言った「書いた小説を発表する」他に「他人の小説を紹介する為のキャッチコピーを書く」機能が、大きく活かされているのです。

 折角そう言ったチャンスがあるのです。もっとチャンスを最大限、活用してみませんか?

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