第2章 不規則なセイカツ 第2話 私の中のマーティ


専門卒業後、仕事に就いた。



私は相変わらずニノと付き合っていた。


もう4年目になる。


仕事も入社したてで、覚えることも多い為に忙しく、月に一度会えれば、、といった感じになってしまったが、、。


私の就職先は隣の県だったし、お金も無いので会社の寮に住むことになった。


寮に引っ越しの初日、、聞いてはいたが、。


改めて驚いたのだが寮は相部屋だった。


どうやら3LDKに3人で住むらしい。


引越し初日だし、先住者の先輩に挨拶をしなければ!、、と考えていたのだが、1人いた先輩は自室の床で爆睡しており、もう1人は不在だった。


仕方ないのでドタバタと引越し作業を済ませて挨拶も出来なかったが仕方なく自室で寝た。



仕事が始まり、業務自体は順調だった。


わからないことだらけでテンパることも多かったけど、寮の先輩である◯さんはとても面白い人だったし、わからないことはわからないので仕方ないと、勉強しながら出来ることを必死にやっていた。



ある日、◯さんと同期のアキとクラブに行くことになった。


クラブである。クラブではない。


要は、酒飲んで踊るところだ。


ソファでカラオケではない。



私はこの時20歳だったのだが、、、


にわかには信じることができなかった。


何がって?


深夜の密室で集団が音に合わせて踊ってるってのが、あまりにも馬鹿げてるとしか思えなかったのだ、、。


だって、、私達、日本人だよ?


似合わないってそんなこと、、。


音に合わせて踊るって、、、


本当に楽しいの!?


本当に格好良いの??


誰かが良いって言い張ってるから、皆無理してやってるんじゃないの???


そんな事ばかり考えてしまい、クラブに行く前に未だ見ぬクラブの実態を想像しては本気でププーッと吹き出していた。



クラブに到着し、、


現実は想像以上の混沌を私に見せつけてくれた、、!


アホだ、、!


アホの集まりだ、、!!


変な男と変な女が変な格好して台の上で変な踊りを踊ってる。そりゃもう、自信満々に、、!


皆幸せそうだ。


こっちへ来いよと手招きしている者すらいる。


ニヤつきを顔に張り付かせ、手なり脚なり動かしながらの我が物顔でだ、、!


私はあまりの衝撃に、、我を忘れて、、


床に転げてしばらく大爆笑していた。



私の周囲の人間達は私の奇行に驚いた様子で(私からしてみれば周りが可笑しいのだが、)少し距離をとったので人混みの中に小さな円形のスペースを私が作っていたことになる。


、、、、、



ダメだ、、ここではこいつらがルールだww


何もわからず笑っちゃ失礼じゃないかww


オーケー、郷に入っては郷に従おう。


酒だ、なるべく強い酒だ。


とても正気ではこの狂乱に私は付き合えない。


とにかく、酒を呑んでアルコールと音楽に身を任せてしまおう。


踊りなんて踊れないが手足が動いてればなんだっていい。周りの奴らも大差無い。


要はどれだけ我が物顔になれるかでしかなさそうだ。


酒飲んで大暴れ。

皆、ハメを外したいのだ。

お疲れ様日本。

私も仕事頑張るよ。


、、なんて考えてたかどうかアレだが、しばらく騒ぎに興じ、(意外と楽しかった)ひと休みしてたら◯さんが近くに来て、


◯『おい、ナンパして来い』


と、私に言い放った。



私は驚きを隠せず、


私『いや、◯さん、私彼女いますから、!』


◯『いいから行け。』


、やられた、、この職場体育会系だった、!


、、、、、


仕方ない、、行こう、、!何事も勉強だ、!


ナンパなんてした事ないけどなんとかしなくては、、。



◯『おい、、どうした!?腰抜けか??』



誰にも、、腰抜けなんて言わせない、、!


私の中のマーティもそう言っていた。



私『、、、行ってきます、!』



、、、、、、


、、、、、、、


、、、、、、、、



踊ってるヤツらはなんせ動いているから声を掛けづらいしもう脳が侵されてるから除外するとして、1人で座って休んでる子を探してたのだが、、、


、、、いた!


1人で座り込んでお酒を飲んでる女の子。


年は、、同じくらいだろうか?


南無三、、ッ!



私『、休んでるの?』


女の子『、、、うん、疲れちゃって。』


私『そうだよね、ここウルサイしね、』


女の子『、、うん、そうだね、。』


私『ずっと踊ったりしてたの??』


女の子『ううん、全然wこういうとこ苦手だから』


私『じゃなんで来たのさww

まぁ、私もこういうとこ大嫌いだけどね。』


女の子『じゃなんで来たのさww

、、私は友達に連れられて。』


私『私も、先輩に連れられて。一緒だねw』


良し!、話し掛けても無視されなかった、!

なんかもう、、コレだけでドッと疲れた、、。


イケそう、、かな?

相手もツレがいるなら好都合だ。


、、、よく見ると、、この子可愛いな、。



私『、、あのさ、。

正直に言うと、一緒に来た先輩に、誰か女の子に声を掛けてこいって言われてね。

、、で、、君に声を掛けたんだけどさ、』


女の子『、、、、』


私『君を先輩に紹介したくないから、君の友達を先輩に紹介したいんだけど。』


女の子『、へ!?』


私『えー、、と、私が君ともう少しお喋りしたいなー、と、思ってるんだけど。

ダメかな?でもって、先輩の期待を裏切れない、。

どうだろ?あ、あと、名前教えて。』


女の子『、、えとwうん、聞いてみる!

あー、、と、ワタシはミーコ』


コクコクと頷きながらミーコは私に笑いかけてくれた。


やった、、!!

コレってナンパ成功になるんだろうか??


とりあえず、場の流れに任せてみよう、、!



その後、ミーコの友人と合流し、◯さんに合わせたところ、なんか◯さんとミーコの友人と意気投合して盛り上がって踊りながらフロアに消えてしまった、、。


いったい、なんなんだあの人は、、。


人生楽しそうだな、、。



こちらも2人になってしまい、思惑通りではあるのだが、さて、、どうするか、??



私はミーコの手を引きクラブから退出した。


ミーコ『なに?なに?なにかな??出るの?』


私は外に出て伸びをしながら


私『あ゛ー、うるさかった、!

、、いや、中にいたらろくに話せないから、。

ミーコと。』


、、まだ耳がキーンとしている。


好んで行くことは今後もなさそうな場所だ。


、、しかし、連れ出してしまった、。


初めてのクラブ体験か、酒のせいか、それとも、初めてのナンパなんてしたから舞い上がってるのか、。


まったくもって私らしくないことの連続だ。



ニノの顔がよぎった。、、、それと同時に、、

ニノの今までの浮気も、アレコレイロイロと

よぎったが、、。


その時の私を自分で許すネタとしては、十分過ぎる不貞をニノは犯していた。



私が思考とともに伸びをやめて振り返ると、、


ミーコ『えへへ、じゃあ、お喋りしよっかw』



、、うん、やっぱり可愛い。

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