義妹No.X

奈名瀬

ダンピール・シスターズ

プロローグ 『キョウ×ダイ』

プロローグAct1『妹』

 目を覚ますと、体が縮んでいた。


 鍛え上げた肉体は線が細くなり、華奢な少女の体へと変わっていたのだ。

 粗暴、粗雑と言われたあたしだが、こんな体の変化に気付かない程じゃない。

 今、あたしの体は十三歳か十四歳の少女のような姿に若返っていた。


「おい! なんだこれっ!」


 更に、自由が利かないことから拘束されているのだとわかり、あたしは叫んだ。

 目の前には、昨日私が襲った少年と少女がいた。

 あたしは、自分の体がこんなことになった原因はこいつらに何かされたからだと直感する。


 だからあたしは――


聞いてんのか! あんたの仕業だろ! あたしに何しやがった!


 ――と、怒鳴る筈だった。


 だが。


「聞いてんのか! 『お兄ちゃん』の仕業だろ! あたしに何しやがった!」


 気付いた時には、あたしは見ず知らずの少年を、兄と呼び叫んでいたのだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る