優しい世界

望月 ひかる

第1話

エピローグ


これはとある化物と乙女の幾千にも続く戦争の最後の物語。

化物は昔からとある小さな村の小高い山の洞窟に住んでいました。

しかし、山に迷い込んだ村の子供が化物の姿を見つけてしまいました。

子供は泣き悲鳴を上げビクビクと震え腰が抜けてしまいました。

しかし、化物は襲いかかることはなく優しく声をかけその子供を助け村へと帰してやりました。

しかし、村人達はその化物を恐れ一斉に攻撃をしました。

化物は怒りました。

一晩で村は消滅し、村の人間は衰退していきました。

そこに4人の巫女が現れました。

巫女達は自らを守護する神器を使い、化物を倒しました。

しかし、化物は怨霊となりまだこの世界をさ迷い、人間を憎み恨んでいるかもしれません。



1/chapter



今日は学校でテストがある日だった。

秋ヶ瀬水早紀あきがせみさきは、テストに備え勉強に必死だった。

その横で、早瀬花香はやせはなかは水早紀に勉強を教えていた。

「だからここが、4になって…って違うよ水早紀ちゃん…」

花香ははぁとため息をつきながら、やれやれと頭を抱えていた。

「え、えっと…√16はっと…3×6?あれ?」

「全然違うよ…もう、私お手洗いに行くからちゃんと出来ること勉強しとくんだよ?」

「わかったよーん」

水早紀はへらへらと笑いながら言う。

花香は時間があまりないので早足で歩く。

1階は工事をしているので、教室をでて左の突き当たりを行き、螺旋階段を使い2階のトイレへと向かう。

休み時間も残り少ないというのに北校舎の2年生の生徒が、横をすれ違った。

花香は不思議に思ったが、特に気にしはしなかった。

「早く覚醒しないと大切な物を失うよ」

横をすれ違った時そんな言葉をかけられた。

これがどうゆう意味なのかは分からないが、どうしてか気になっていた。

そして教室へ帰ろうと螺旋階段を降りている時だった。

目の前が真っ暗になり声を出したつもりが、声は聞こえず無音の闇の中花香は立ち尽くしていた。

次の瞬間、心臓辺りを光る何かが貫きそこで花香の意識は途絶えた。



2/chapter



目を覚ますと変わり果てた学校の螺旋階段に寝ていた。

「あれ…私…」

上の階は完全に崩れており雨が降っていて、少し肌寒かった。

「さむい……」

制服は濡れ、体にぴったりと張り付き体のラインがよくわかる。

「ぁ…水早紀……」

花香は螺旋階段から立ち上がるとそこには瓦礫のだらけだった。

花香は運良く瓦礫の隙間にいたため助かったがそこはどこを見ても、死体。死体。死体。死体の山だった。

「水早紀…っ!」

花香は教室のあったところまで、死体を踏み、蹴り、かわしながら、走った。

教室のあったところは変貌し、ただの瓦礫の山だった。

クラスメイトの死体がゴロゴロと転がっていた。

「水早紀!水早紀!」

花香は到底持ち上げることもできない瓦礫を持ち上げようと必死だった。

その時何者かが瓦礫を軽々と持ち上げた。

「え……」

「あんた誰探してんのさここにいる奴は選ばし者以外死んでるよ。諦めなよ。」

その少女は長い黒髪に巫女服を着ており、それだけ言うと姿を消した。

「選ばれし者ってどうゆうことよ…全然わかんないっての!」

そう叫んだ途端下から声がした。

「貴方が次の巫女さんかしら」

花香が声のした方に振り向くと10才ほどの少女が銀髪の髪をなびかせながら、机の上にお菓子や紅茶などを広げ、椅子に座り呑気にお茶をしていた。

「生きてるって事は…貴方も選ばし者?ってやつなの…?」

少女は紅茶を1口飲むと微笑みながら言った。

「いいえ、違うわね。私は選ばし者を選ぶ者。そうね神様みたいなものよ」

少女はニコッと笑いまた紅茶を飲んだ。

「か、神…?貴方が…?」

「えぇ。」

「え、選ばし者って何なのよ。巫女って何。この世界は何が起きているの…?」

少女はぴくっとし、紅茶を飲むのを止めると口を重々しく開いた。

「違うわね。厳密に言うとこの世界ではなく、この地域よ。そうね、簡単に言うとここの地域だけ異世界に飛ばされたのよ。ここ以外はいつも通り、普通に暮らしているわよ。」

花香は膝から崩れ落ちた。

その目からは大粒の涙がぽたぽたと不意に落ちてきた。

「あ、それとその水早紀っていう子」

「水早紀は死んでるんでしょ…知ってる事言わないで。」

「あ、いえだから、生きているわなんなら私が保護してるわよ」

花香はあんぐりとしていた。

そして一気に肩の荷が降りたかのように安心したのか、意識が遠のきまた倒れてしまった。

目を覚ますと目の前には、水早紀がいた。

「み、さき…」

「花香ちゃん!よかった…」

水早紀はほっとしたような顔をしていた。

「感動の再開ね」

そこには先ほどの少女もいた。

「あ、あの…ありがとう。」

「いいえ、その子も選ばし者だから助ける義務があっただけよ。」

「そ、それでも…ありがとう。」

少女は照れたのか、そっぽを向き

「べ、別にお礼なんていらないわ」

照れ隠しするかのように紅茶を飲み始めた。

「あっ…私まだ貴方の名前聞いてない。」

「私?私には名前なんてないわ。まぁしいていうなら、ヨハネ。とでも呼んでちょうだい。」

「ヨハネ…うん。」

ヨハネは椅子から降り、2人の側まで寄った。

「貴方達は選ばし者。それは知ってると思うけど、この地域は異世界に飛ばされているからもう貴方達の知ってるところじゃないこれだけは理解してちょうだい。そしてこの地域を異世界に飛ばした張本人は化物よ」

「化物……?」

「化物って…昔からこの地域に言い伝えられている物語の化物…?」

花香は淡々と言う。

「えぇ。よく知ってるじゃない。そうよ」

「じゃあ、選ばし者って…」

水早紀は不安げにヨハネに訪ねた。

「化物を倒すため選ばれた者。巫女の生まれ変わり。それが貴方達よ」

花香と水早紀は信じられなかったが、今目の前にしている光景が嘘ではない。と受け入れてしまつまていた。



続く

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優しい世界 望月 ひかる @ako1132

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