シリウス



真っ暗な道の向こう側を照らす灯りは

機械的なニセモノだとしても

シリウスの光が僕らを手繰り寄せるから?


数多の星の海で

溺れることに

慣れてしまって

子どもの頃のように

夜空を見上げることも

忘れてしまって


ブッラクホールに

吸い込まれたのは

純真な少年時代

初恋の思い出と

後ろ姿、通り過ぎた誰か

誰なのかも探さなくなった

昨日の僕と、

機能しなくなった思い出たち

断ち消えて


数多の星の海で

溺れることに

慣れてしまって

人を傷つけることにも

嘘を吐くことにも

慣れてしまって

痛みに鈍感で


トレース繰り返す

オリジナリティー


数多の星の海で

溺れることに

慣れてしまって

諦めることにも

慣れてしまって

あざとい笑い方で

微笑むことにも

慣れてしまっても


慣れない

隣にいる君と

いつもと同じ日、同じ夜空

同じじゃない時間と

同じじゃない空の向こうの宇宙ソラまで


真っ暗な道の向こう側を照らす灯りは

機械的なニセモノだとしても

シリウスの光が僕らを手繰り寄せるから?

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