オモムケドトリヨセズ

@ONSHA

もうあそこには行かれない-F.O.B COOPの閉店

2015年10月末に広尾にあった一軒の雑貨店が閉店しました。


B.Bみたいな容貌の益永さんが広尾に出したF.O.B COOP。

今でこそ当たり前にカフェやら家庭で使われている強化ガラスのグラス、「DURALEXのピカデリー」はこちらで東京にデビューしたのではないでしょうか。


Made in FRANCEの雑貨は当時新鮮でした。

Amazonも楽天もなく、個人輸入で海外のものを買うことが最先端だった頃のお話しです。


昨年銀婚式を迎えた友人夫妻の新婚宅には25年前からDURALEXがありました。

そのご夫妻のお家にはバカラやロブマイヤーなどの素晴らしいグラスも沢山ありますが、陽気な酔っぱらいにはDURALEXを与えられておりました。

今も彼女の家にはDURALEX(買い替えたかもしれないけど)があります。

セレクトしたセンスの良い彼女も多分当時FOBで買っているはず。


もちろん私たちも真似をして結婚もしていないのにDURALEXを買いました。

滅多なことでは割れないからまだ使っています。


最近、台所周りのものを整理しましたが、F.O.B.COOPで買ったものは捨てられないものが多かったのです。


木製の小さなボードもそのひとつ。もう20年近く前に買ったもの。

便利な小さなナイフがいくつかセットでした。

チーズや果物を切るのに使っています。ちょっと割れてきてしまいましたが使えるうちは使ってみます。


台所を整理して残ったのは食洗機にかけにくいものでした。

また歳を取れば変わるかもしれませんが、消耗品以外はプラスティカルなものは買わないことにしました。タッパーを大量に処分しました。すっきり。

残ったものは磁器、陶器、ガラス、ホーロー、木。

やたら洗い物しています。


「六本木経済新聞」2015年11月の益永さんのインタビュー記事を読んで

「買わない権利」という言葉が胸に刺さりました。

工業品や同じものであれば、安い方がいいし、駅で買えたりワンクリックで届くなら便利でしょう。


私が赴いているのは実際手に取って触ったりお店の雰囲気を感じたいから。

暇なんだよ、と言われればそれまでですが、趣味や主義は変えられないものです。

非効率ですが無駄なようで無駄でもない。

なので迂闊にクリックしない買わない権利、無駄を楽しむ権利を私は守れる範囲で守ります。


F.O.B.COOPには随分ご無沙汰で、確か外苑前にあったお店に行ったのが最後。

無くなるから急に懐かしんでごめんなさい。

いろいろ考えさせてくれてありがとうございました。

この見切りのつけ方はかっこいいけど、町に置いてかれた私たちは少し淋しいです。

メッセージ、胸に刻みます。

そして良いお店が残るようなお金の使い方をしていきます。

I love TOKYO。

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