うみがあったころ

それはまだうみがあったころ

おじいさんは うみにいかなかったという

なみは おそろしく うなり

もういないひとらが よなよな あらわる


それはまだうみがあったころ

たくさんの ばけものがあったという

からだはんぶん さかなのじんるい

しがいを はむ かいていのむし


おじいさんは それはおそろしく

うみについて はなしたけれども

それが果たして本当だとは

僕には到底思えない


それはまだうみがあったころ

うみはひろいしおおきいし

つきはのぼって ひがしずむ

そういう うたが あったから

ぼくには とうてい おもえない

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