第4話

 話は現在に戻る。もう救急車はごめんだ。僕は身長が180、体重が90キロ台のデブである。緊急隊の人達にこれ以上迷惑はかけられない。等と謎の配慮が働き、とにかくなじみの内科に行く。冷や汗をかきながら車を運転し、五分で内科につく。これは良い判断だった。その後は激痛。記憶も飛んだ。ベッドを借りるものたうち回り、座薬を入れられる。同じである。さらに尻に注射も打たれた。これがまた痛くて『アァ゛ァァン♡』みたいな声を出してしまったことは覚えている。先生に色々聞かれる。何を話したのかはもうほとんど覚えていない。

そして一瞬正気に戻った僕はまた救急車に乗っていた。これからランチに行くはずだったのにと、繰り返し僕に愚痴をこぼす母親も同乗。そんなこと言われても。すまないとは思うけれども。

 内科から大きい病院への搬送である。またである。その時点では胃腸の可能性もあったのでその方面に明るい病院に行くことになった。病院に着くも痛みは落ち着かない。座薬を再度入れられ、ケツにも注射をまた打たれる。アァ゛ァァン♡それにしても、こういうとき打たれる注射ってトリップするような効果があるのだろうか。目をつぶるとどんどん連想ゲームのようにつながったものが2秒ごとに新しい映像に切り替わり、明らかに自分の知識にはないような膨大な情報量が脳を直撃した。世界の真理が何度か見えた頃漸く痛みが落ち着き、僕は車いすに乗っていた。おしっこを取るように促される。濃い色だった。CTなども取った。結果、左腎に4㎜の石がある、とのことだった。2年前にいた例のうつろが今、石となってこの世に復活したのだ。翌日に前にお世話になった泌尿器科の病院に行き、造影剤を用いた検査をする予約をしてきた。パラパラ漫画のように連続で写真を撮り、石が体にどのような悪さをしているか確認をする検査だそうだ。そう、結石とは命にかかわるようなものではない。急いで手術をしたりすることはなく、座薬で痛みを抑えながらの様子観察が基本なのである。石の恐ろしいところはそこにある。要するに死ぬほど痛いのに死ぬほど後回しにされるのだ。

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