恍惚の轍-わだち-


誰しも心に どす黒い何かを抱えている


そんな風に思ってしまうのはきっと


純潔を装う その魂に触れたからだ





ただあてどなく辿る 


その軌跡が本当は何を視つめてきたか


匂いのきつい薔薇の花ほど 真実を隠そうとする





どうでもいいことなのに どうでもいいと思えないのは


未遂の絆に囚われ問われたわだちだから






届いてしまった何かが 新しい波紋を広げる


切れ切れに途絶えたようで繋がる 喧しい流線型





恍惚の表情は いつしか限りなく死に近づいて


無垢な眸をどこへ招こうというのだろうか





カナシイならカナシイといえばいい


クルシイならクルシイと叫べばいい


なぜできないのかなんて云わせない






要するにだってそれは愛でしかないのだから


もうすぐ夜が明けるよ 連れて行ってあげるよ


アナタが見たこともない 刹那く優しい風景に






迷ったり詰ったり繕ったり偽ったりせずに 


歪んだ本音ですら 受け止めてあげるから





きっと思い切り泣くことから 


すべては始まっていくと思うんだ


どうしたらいい、なんて今さら戸惑わせない






拒んだ情熱を取り込んで傾斜 どこへいく余白


申し分のない何もかもが実は いたらない幼子のようで


不実の顔をした過去の何もかもが もうすぐ奇跡の落し子になる







わたしが初めてその脳裏に届いた日に


アナタは彼女と出逢い 永遠という果実を味覚った


そして繰り返される痛み 産み落とされる孤独






彼女と彼女の狭間で揺らいだ 罪に似た何かを


ずっと飲み下せずに彷徨ってきたのでしょうか


招き寄せる不幸の形式かたち


夢のレプリカ






ずっと遠くで誰かが呼んでる 


そう信じては信じきることのできない自分自身を呪い


打ち寄せる雨予報 啼く幸福のモデリング





本当はどちらが真実の傷みを知っているのかと


おしえて欲しいから、またここから呼び続けてる





きっと誰も知らない事実を


空から盗み見てしまった拙い傍観者のように






いつか描き綴ったサインは 



こうして――、



いつしか 






ここへと繋がろうとしている








luca minamoto@Copyright_2013【ポエトリー】

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