山田なんてきえればいい。

竹崎

第1話≪山田なんてきえればいい。≫

ふざけんなまじで。


あいつが観てみたいと言ったからとった、公開したばっかの恋愛映画のチケット。



『ひまだ~~~』なんて呟いてたから誘ってやったのに、返事がきたのは夜の9時。寝てんじゃねーよ馬鹿野郎。1人で観てきたわ。



『ユキちゃんごめんね(ハート)今度ごはんおごるから(ハート)』



ちゃんをつけるな、ちゃんを。



かわいらしく謝れば許されると思っている。


山田はそういうやつだ。決して許すまじき存在なのだ。





たとえば、たとえてみると、山田とは、


濁流がごうごうと流れる崖にぶら下がる、危機一髪な人間に対し、




「やっばいね~、引き上げたほうがいい? 人呼んだほうがいい? まだいけそ?」


なんて言ってしまうようなやつだ。いや確実に言う。



馬鹿みたいにゆるく、物事を自分で決めようとはしない、1人で生きてはいけないようなだめ人間なのだ。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る