唐突にバーストオンする日本昔話

@myokosuke

第1話 わらしべ長者

 昔々、あるところに、親も、使える主人もなんにもない、おかみさんもないから子供もないという、ひとりぼっちの貧乏な若い男がおりました。男はどうやってくらして行ったらいいもんだか、どうしようもないもんだから、近くの寺へ行って、観音様のまつってあるお堂の前に座り込んで、口の中でぶつぶつと、こんなことを唱えました。

「こんなふうに生きておるくらいなら、このままここで、飢え死にしたほうが、ましだと思っております。けれどもまだ、なんとかうまいことがあるもんならば、そういう夢を見させてもらわんうちは、ここから外へ、出んつもりです」

 というようなことを、ボシャボシャといいながら、そのうちくたびれてつっぷしてしまいました。いつまでもそうやっているもんだから、お寺のお坊さんたちもだんだん心配になってきて、相談しあったうえで、かわるがわる食い物を持ってきてやることにしました。

 若い衆のほうは、そこで、持ってきてくれるものをみんな食べながら、けっしてお堂の前から動かないで粘っているうちに、やがて二十一日も日が過ぎました。二十一日というのは、仏様に願い事をして、それがかなえられる日だということに、昔からなっております。

 さて、その二十一日もいっぱいになって、やがて夜が明けようとするころに、若い衆の見ている夢の中では、お堂のおくのほうに垂れ下がっている布のあいだから、誰かが出てきて、こう言いました。

「おまえは自分のことを棚に上げて、観音様にねだりごとばかりして、けしからんやつだぞ。けれども、おまえの言うことを聞いていると、かわいそうでもあるからして、あることを、ちょっと教えてやろう。何よりかにより、まずすぐここを出ていくべし。そうして寺の門を出たら、なんでもいいから手にあたったものを、けっしてすてないで持っていろよ。さあ、早く出ていくべし」

 と追い立てるように言ったので、若い衆はびっくりして飛び起きて、寺から出ていきました。ところが、門を出るところで、つまずいて、うつ伏せに倒れました。

 若い衆はこれはいかんと、起き上がったところが、いつの間にか、手で握っていたものがあったのを見てみると、『ドレッドノート スターターデッキ 刻印ノ槍(こくいんのやり)』というものをぎゅっと握っておりました。



 ドレッドノート、バースト、オンッ!!





     *  *  *


 その後、若い衆はCS東京、GCSを見事制覇して手に入れた賞金をもとにFXで資産を増やし、宝くじを買って一等を当て、ついでに油田も掘り当てて、どえらい大金持ちになりましたとさ。めでたしめでたし。

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