episodeXIII……死神

 これは夢のお話。


 死神はアルカナに言った「私にそっくりだ」と。

 それを受け、アルカナは首を傾げる。


「どこが似ているというのかしら?」


「私はもうすぐ死ぬ人間のもとに現れ、生から死への導きをしている。つまり皆私を必要としているのだよ。人は生きていれば必ず死が訪れる。その際に私がいなければ、この世を彷徨うことになるからね」


 するとアルカナはかぶりを振った。


「あたしはあなたほどではないわ。あたしのことを疎ましく思う者も必ずいるはずよ」


「それは私も同じさ。死神に会いたいと思っている人間なんているわけがないだろ。私の存在は疎ましいものでもある」


「それならもっと違うわ。あたしに会いたいと思う人は少なからず存在する。あなたと違ってね。それにあたしが捜し物を捜すのは、人に頼まれてからよ。でも、あなたはあなたの意思で捜しているじゃない。そこが大きな違いだわ」


 アルカナの言葉に、死神も少し言葉を詰まらせる。しかし、負けじと口を開く。


「私にもね、人に頼まれることもあるのさ。死にたいと。そんな時は喜んでその人のもとへ向かう」


 苦し紛れの言葉にも聞こえたが、嘘ではない。確かに、時に人は自ら死を求める。


「ところで死神さん。あなたがあたしのところに来たってことは、あたしはもうすぐ死ぬのかしら?」


 すると今度は死神がかぶりを振る。


「いいや、君に会いに来たのは、ひとつ忠告しておきたいことがあってね」


「忠告?」


「そう、もうすぐ君にある悪い知らせがやってくる。そんな時、君はその不思議な力を使うことになるだろう。でも、そこで間違ってはいけない。君は死んだ人間を捜すことはできないが、死のうとしている人間は捜すことができるってことを」


「それはあたしに誰かを救えってことなのかしら」


「その質問に答えることはできない。生かすことが救いなのか。殺すことが救いなのか。私は後者を選ぶが、君はどうかな?」


「そう、ならやっぱり……」と小さく呟いた後、死神にアルカナは言った。


「あたしにそっくりね」

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